内容説明
執筆中の流行作家が椅子にのけぞって射殺されていた。仕事場に残されていた38口径の拳銃と鍵、そして殺人の瞬間を録音したテープ…。コロンボは出版社社長の完壁すぎるアリバイに疑問を抱き、身近を探りはじめる。爆弾狂の謎に包まれた爆死と、金庫に納められていた戦争小説の梗概は、いかに事件に絡んでいるのか?遺作となった『サンゴンへの60マイル』の終章に綴られていた秘密とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
82
【刑事コロンボ】シリーズ第22弾。本作はシリーズ内で、犯人のトリックを看破る伏線や展開を、推理する事が難しい作品のひとつとなった。犯人のグリンリーフは、爆弾のプロを仲間に引き入れ、こと細やかな工作により完全に思えるアリバイを手に入れる。シリーズの特徴でもあるが本作は特に、最初から犯人がコロンボを全く見下して相手にしていない。よって最後に、コロンボの実力を理解した時の衝撃の大きさが、何とも言えない歓喜を呼ぶのだ。またコロンボが仕掛ける罠の意図を、推理出来たという満足度も高い作品となった。シリーズ推薦の一作。2023/02/16
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
65
一人コロンボ祭り継続中。シリーズ第22話。人気作家が執筆中に射殺された。現場には出版社社長の指紋の付いた拳銃が残されていた……。計画性のない事件もたまにはあるけれど、やっぱりコロンボシリーズはこうして綿密に計画された犯罪をコロンボが少しずつつき崩すパターンが面白い。完璧なはずだったシナリオが少しずつ狂い始める。策士策に溺れるとはこのことだ。小ネタとしては、超高級レストランに入って、わざわざチリを頼むシーンが面白いね。★★★★2016/05/06
Richard Thornburg
30
感想:★★★★★ 今回は執筆中の流行作家が仕事場で銃殺されていた事件にコロンボが挑みます。 殺害に使用された拳銃と鍵。 あまりにもあからさまな証拠とアリバイ。 犯人は自分の思い描いた犯罪ストーリーの中でコロンボを躍らせようとするのだが、そこは我らがコロンボ! 犯人の意表を突く作戦で、自信満々の犯人の犯罪計画を突き崩していきます。 自信家で往生際の悪い犯人だっただけに、ラストでコロンボが犯人を追い詰めるシーンは気分爽快でした。 2023/07/03
めしいらず
25
出版社社長が犯人。殺し屋に犯行させた後に殺害。ひどく婉曲的なアリバイ工作を施す知能犯に早速目星を付け鍵を付け替える罠で勇み足を踏ませて確信に変え、殺し屋が九か月前に書いたとされる小説の梗概に、彼が知っている筈がない先週変更されたばかりの結末が記されている点の齟齬を示して犯人を沈黙せしめるコロンボの追及もまた極めて知的であり、理解するのに時間がかかってしまった。犯人の手数が増えるほどしくじる確率が上がる例である。本格ミステリとしてシリーズ随一にハイレベルなお話。コロンボランク17位2025/02/08
ぬぬよよ
8
自信満々の犯人を追いつめるコロンボ。コロンボが一枚上手でした。2023/09/06