内容説明
時は1902年初夏。新王エドワード7世の戴冠式を間近にひかえたロンドンは、奇怪な事件に震えあがった。巨大な魔犬が荒涼たるハムプステッド・ヒースで、浮浪者を襲ったという。あのバスカービルの犬の再来か?これにつづくクロムウェルの遺骨の発掘と盗難、フェリー内の中国人ボーイ殺害と、無関係に思える諸事件の裏に、ひとりシャーロック・ホームズは、邪悪な陰謀を見据えていた。ホームズの時代をあざやかに甦らせた会心作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
7
さるアメリカ女性が、ジョン・H・ワトスン夫人になることを承諾してくれたことに意気揚々としていた独身男の描写から、このお話は始まります。50代になった年金暮らしの元医者のくせに、手の早いこと。(笑) 事件は、レストレード警部の持ち込んだ「非常に異様な動物、しかも足跡は巨大な犬にしか見えない」に襲われた男から始まり、タイバーンへと移ります。物語の底を流れるのは、原作であるホームズ譚を知り尽くした高名なシャーロッキアンの手になる、ホームズへの賛歌。見事なパスティーシュです。2005/05/28
kenpapa
2
再読。引退を匂わせたホームズに次々舞い込む事件。ワトソンの3度目の結婚話や懐かしのレストレード・グレグスン両警部、随所に出るかつての事件名などサービス満点の作品。作者のコナン・ドイルへのオマージュを強く感じます。2020/07/23
きら
1
ホームズの引退間近が描かれる、上質のパスティーシュ。 作者がシャーロッキアンだけあって、色んなエピソードを絡ませて、ホームズファンとしては、面白かった。 2019/06/19