出版社内容情報
万延元年、幕末の足音が響く江戸。最先端の洋学をめぐり、武家屋敷の奥方たちの日常は静かに揺らぎ始める――。
蕃書調所(洋学の教育研究機関)の頭取助を務める武士・右田十郎の屋敷では、凛とした佇まいの正妻・おりうと、半年前から同居を始めた元芸者の妾・お糸が、緊張感の漂う日々を送っていた。
そんなある日、十郎の部下であり、化学実験を担う精錬方の若き俊英・柿谷藤一郎が突如として失踪を遂げる。洋学を危険視する保守派からの弾圧を恐れた十郎は、事態を「女絡みの出奔」として穏便に処理すべく、お糸に隠密裏の探索を依頼する。
しかし時を同じくして、江戸の女たちの間では、出島渡りの薬種入りと噂される、冷たい青みを帯びた不思議な赤の「異国の紅」が爆発的な流行を見せていた。
夫が隠す洋学研究の裏の危機を察知し、独自の調査に乗り出す正妻・おりう。そして、流行の紅を売る小間物屋「いたち屋」が、柿谷の失踪前日に突如夜逃げした事実を突き止める妾・お糸。
「失踪した技術者」と「妖しく美しい紅」。交錯する二つの謎の先に待ち受ける、国レベルの陰謀とは。正妻と妾、対照的な二人の女が幕末の闇に立ち向かう歴史ミステリー。
【目次】
内容説明
幕府・蕃書調所頭取助、右田十郎は同じ屋敷内に妻と妾を同居させ、周囲に「揉め事なしさ」と吹聴する無神経な男だが、同居する女ふたりには他人にはわからない緊張が絶えずある。そんな中、夫の部下が失踪をしてしまう。彼の名と調所の名を騙り本来は使わない薬剤を混ぜ紅を売っている者がいたのだ。事を穏便に解決しないと夫が職を失う。そんな危機に妻と妾が謎に挑み、二人の距離が少し縮まる。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。1983年に『原島弁護士の処置』で、オール讀物推理小説新人賞を受賞。1987年『絆』で日本推理作家協会賞、1990年には『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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