出版社内容情報
80歳を超えたマット・スカダーが自らの探偵人生を振り返りながら、著者ブロックに語りだすメタフィクション!
内容説明
父と母、幼い弟の死。警官時代の相棒との逸話。はじめて犯罪者を射殺した日。復讐者との因縁。そして少女を死なせてしまったあの日―。記憶を探りながら諦念を交え静かに語る最後のマット・スカダー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽてち
28
84歳になったスカダーが出生から35年間の人生を振り返る自伝。本書においてスカダーは実在の人物であり、これまでのシリーズは彼の経験を基にブロックが書いた小説という設定のメタ・フィクションだ。実際にブロックとスカダーがやりとりする場面もあるからややこしい。シリーズではあまり触れられていなかったスカダーの両親、生後すぐに亡くなった弟の存在、学生時代、警察官としてのエピソードなどが淡々とした筆致で描かれている。『八百万の死にざま』を刊行直後に読んでから約40年の付き合いだが、どうやら本書で読み納めとなりそうだ。2025/01/05
タナー
26
マット・スカダーはお気に入りハードボイルド・ヒーローのひとりだ。何年か前、80歳を過ぎたスカダーの物語も出ているが、この作品が正真正銘、"マット・スカダー最後の物語"となるわけだ。シリーズのファンとしては警察官時代のマットや、少女誤射事件等々、実際はどうなのかというところを、スカダー自身が語っている。翻訳を担当された田口氏のあとがきにもあるが、小説の主人公である探偵の自伝というのは聞いたことがない。突然亡くなってしまいシリーズが終わってしまったり、あるいは途中から邦訳が出なくなったり.... 2024/11/26
くさてる
18
スカダーファンとしては新作を読めるのかな?という思いで手に取りましたが、まさに題名通りの思い出語りでちょっと意外でした。メタっぽい仕掛けはわずかで、84歳になったスカダーが自分の人生(より正確にはブロックが小説として書いた事件に出会うようになるまでがほとんど)を振り返る内容で、すみずみまでスカダーら示唆が感じられ、ファンとしてはとても良い内容でした。2025/01/04
co_taro
7
メタフィクションを知らなかった大御所ハードボイルド作家が書いたメタフィクション。ローレンス・ブロックが自身の作品の主人公マット・スカダーに自叙伝執筆を依頼、スカダーが生い立ちから晩年を徒然なるままテキストに打ち込んいくという不思議なストーリ。パソ通(死語)の読書系フォーラムで教えてもらったこのシリーズを読んだのはもう30年以上前。酔いどれ探偵からスタートして断酒、再生という変節を途中よりほぼオンタイムで追いかけてきたから幕引きは感慨深い。シリーズ未読が数作あり、既刊も再読したいと思う。お楽しみはまだ続く 2025/03/24
kurupira
5
ああ、これで本当に終わってしまったのか。。作中人物の自伝として、ブロックとスカダーを同じ世界線で語る事により、スカダーも現実世界にいる存在になったのか、、今でもスカダーとエレインはNYで暮らしていて、食事しながらいつも通り小気味よい会話してると思うと、またいつか彼らに出会うことがあるかもしれない2025/03/12