出版社内容情報
巨大生物「怪獣」の度重なる出現に対抗すべく、専門省庁「怪獣省」が置かれ、発見・予報・殲滅の撃退プロセスを確立させ、世界をリードしてきた日本。怪獣それぞれの生態から進路や撃退法を分析する予報官の岩戸正美は任務中、奇妙な事件に遭遇する。それは風力発電所の停止命令が届かず怪獣の破壊を受けた町で瓦礫の下から見つかった死体(第一話)の謎、音響統制が敷かれた静寂の中で鳴り響いた一発の銃声(第二話)、美しい湖畔の小さなホテルから調査官が失踪した事件(第三話)。こうした怪獣にまつわる事件には必ず、年季の入ったコートをなびかせた一人の中年男が現れる。警察庁特別捜査室の船村と名乗るこの男を、岩戸は噂で知っていた。そして、船村が捜査する怪獣を巡る奇妙な事件に、岩戸も巻き込まれていく……。
三篇の連作とエピローグで構成、文庫化に際して、「怪獣チェイサー」(KADOKAWA刊)を加筆修正の上、再録。
内容説明
「怪獣」の度重なる出現に対抗すべく、日本は専門の「怪獣省」を置き、発見・予報・殱滅の撃退プロセスを確立させ世界をリード。怪獣の進行方向や攻撃方法を分析する予報官の岩戸正美は任務中、奇妙な事件に遭遇する。怪獣が現れ混乱をきたす現地で見つかる不審な遺体や行方不明者。―このような怪獣にまつわる事件には必ず、年季の入ったコートをなびかせる中年男が現れる。船村と名乗るこの男は、怪獣に関連した特殊な事件を扱う警察庁特別捜査官だった。岩戸は、船村の半ば強引な要請に応じる形で捜査に巻き込まれていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
81
なるほど!これは面白い!!まさに怪獣+ミステリを満喫♬それもどちらも本格的で秀逸だからたまらない!冒頭からバカ真面目にまず繰り広げられるのは超リアルSFな怪獣殲滅劇!大成功ならずも失敗でもない撃退から、いつのまにか殺人事件調査に至る展開も去ることながら、渋くいい味出してる老年刑事が登場とは恐れ入る!そして3篇目では逆にある殺人への探偵劇から怪獣の恐怖に繋げるワクワク度は絶品!絶体絶命の危機に出来過ぎながらまさかのヒーロー化は痺れるくらいカッコいい!やっぱり怪獣って病みつき(笑)これは続編マストは決定事項!2025/03/17
keroppi
72
【怪獣・怪人文藝番外地】怪獣+ミステリーの連作。怪獣対策で「怪獣省」が設置された日本。そこで「予報班」を務める岩戸が遭遇する殺人事件。解説によると、作者は、アニメ「名探偵コナン」の脚本も手がけるミステリー作家にして、ズブズブの怪獣オタクとか。それで、随所に怪獣オタクぶりが出ていたのか。それを追いかけるだけでも楽しいし、しっかりミステリーもしている。怪獣+ミステリーってどうなのだろうと思っていたが、これはいける。この後もシリーズは続いているようで、それも読みたくなってくる。2025/05/09
ち~
27
怪獣襲来の混乱時に起こる殺人事件を、怪獣省の岩戸と警察庁の船村が解決する連作短編。怪獣の退治にハラハラした後の殺人事件の捜査のワクワク。怪獣がいるからこその殺人事件とか怪獣の特性と退治方法、怪獣が存在する世界の舞台設定から人物造形と何から何まで楽しめた。続編があるのが嬉しい。2024/10/26
Nao Funasoko
24
初読の作家さんかと思いきや巻末解説で『BLOOD ARM』の著者だったと知り納得。 1954年以降の怪獣出現時代の日本をパラレルワールドとして描く。 怪獣出現を機に経済をV字回復させた半面、人権よりも過剰な怪獣対策が優先されるその世界はある種のディストピアでもある。 ウルトラマンやウルトラセブンを通じ、「正義とは何か、悪とは何か」を考えさせられた我々世代にとって、未だ解けぬ命題を再提示された気もする。2024/10/14
マッちゃま
18
ミステリ好きに判りやすい言葉で表現するならば特殊設定ミステリなんだろけど怪獣てて。日本は怪獣の襲来で甚大な被害を被り、現在は怪獣災害を食い止めるべく怪獣省を設立し発見解析→分析予報→殲滅し、この分野で世界トップとなる。本書のヒロイン岩戸正美は予報官。怪獣発見の報を受けてから怪獣の分析予報し、殲滅班にバトンを渡すのが任務。そんな中で起こる不可思議な現象。混乱する現場で発見された遺体、謎の発砲音、行方不明者。怪獣が存在する世界だからこそ起こる、他じゃ~なかなか味わえない大倉ミステリ。かつての男の子は必見(笑)2025/01/20