二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション マイ・ポリスマン

ロバーツ，ベサン【著】〈Ｒｏｂｅｒｔｓ，Ｂｅｔｈａｎ〉/守口 弥生【訳】

二見書房（2022/06発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 532p／高さ 15cm
• 商品コード 9784576220567
• NDC分類 933
• Cコード C0197

出版社内容情報

1950年代。マリオンは少女の頃からの片思いの相手で警官になったトムと再会してデートを重ねるが、ふたりの関係を邪魔する存在、パトリックが登場する。彼はトムの秘密の恋人だった。マリオンはそれを知らないまま、そしてトムは世間を欺くために、結婚する。結婚後、ふたりの関係に気づいたマリオンは、夫を取り戻そうとしてパトリックの上司に彼が同性愛者であることを密告するが……。世間が同性愛に厳しかった時代、愛し合うトムとパトリック、そしてマリオンそれぞれの人生を描くLGBTQ小説。
　ハリー・スタイルズ主演の映画が既に完成している。
原題：My Policeman

内容説明

中学生だった頃、広い肩幅と逞しい前腕、青く澄んだ瞳を持つ１５歳のトムと出会い、忘れられなくなったマリオン。数年後、警察官となり大人の男性へと成長したトムと再会し、真っ逆さまに恋に落ちていく。トムの親しい友人パトリックにも紹介され、３人で楽しく過ごす日々のなかで情熱的にプロポーズもされて幸せの絶頂を感じるが、トムの思いがけない秘密を知ることになり…道ならぬ恋を貫くトムとパトリックと、トムを愛するマリオンの運命を描く美しくて哀しいラブストーリー！

著者等紹介

ロバーツ，ベサン［ロバーツ，ベサン］ ［Ｒｏｂｅｒｔｓ，Ｂｅｔｈａｎ］
イギリス、オックスフォードで生まれ、アビンドン近くで育つ。デビュー作の“Ｔｈｅ　Ｐｏｏｌｓ”はＪｅｒｗｏｏｄ／Ａｒｖｏｎ　Ｙｏｕｎｇ　Ｗｒｉｔｅｒｓ’　Ａｗａｒｄ受賞。テレビ局のドキュメンタリー番組の調査員や放送作家、アシスタント・プロデューサーの経験があり、ロンドンの大学で文芸創作を教えていたこともある。現在は家族とともにブライトン在住（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[しゃお]

ずっと好きだった男性と結婚したマリオン。その彼女が初老となり手記を綴る姿と、「わたしの警察官」を想うパトリックの手記との二つの視点で描かれたラブストーリー。ゲイであるというだけで罪となる時代。本当の自身を抑え世間に合わせる重圧や抑圧。一瞬でも解放された時の様子が実に美しく描かれていて印象的。トムの視点が無いのもまた良かったかも。それにしてもそれぞれが自由に声をあげる事ができれば、生きる時代が違っていれば、それぞれが違った人生、幸せな人生を歩めたのでしょうか。そっと扉を閉じるようなラストも余韻深かったです。

2022/06/25

[ち～]

ずっと憧れ続けたトムと結婚したマリオン。彼には親しくしている友人パトリックがいて、時には３人で交流もしていた。しかし…パトリックは実は恋人だった。40年後、寝たきりとなったパトリックを、トムの反対を押し切って介護をするマリオンが、枕元で秘密を打ち明けるところから話は始まる。嫉妬もし、いつかは…という思いも秘めていたマリオン。そして、同性愛が犯罪となっていた時代背景。３人が真剣に相手を愛したが故の結末。マリオンのこれまでの人生を思うと…言葉が出ない。トムには、最後まで目を背けずにいて欲しかった…

2022/06/28

[菫子]

感動。大好きな男性と結婚した妻の目線で始まるラブストーリー。夫と夫の友人と妻の三人の気持ちが切なく胸に迫ってくる本格派ラブストーリーで、味わい深い作品でした。表紙から勝手にキュートなロマンスかと思って読み始めたら違ってシリアスで重い純愛系で、すごく好みでした。美青年の警察官トムは映画化俳優ハリー・スタイルズの外見で美しく脳内再生しました（萌えた）。読後、あとがきの当時の時代背景を読み涙が出ました。ラストが哀しく美しくて良い。良作です。癖のない正統派な作風で読みやすかったです。（ロマンス小説ではない）

2022/05/22

[橘]

3人は本気で愛してたのに、それは時代が許さなかったので切なくなります。正直、トムの良さがあんまりわからない。トムの保身と逃げに徹する臆病さ…マリオンとパトリックが本気になるような相手かな？パトリックとジュリアは格好良い。パトリックの「人を糾弾する神は信じません」、良かった。同性愛が法律違反になる時代が長くて、合法になってから50年くらい、その当時犯罪者とされた人々に恩赦が与えられたのはほんと最近。そういえば、エニグマを解読したアラン・チューリング博士も同性愛の罪で逮捕されて無念の死を遂げてらした。

2023/11/07

[一柳すず子]

なんでマリオンはパトリックを探そうと思ったんだろう。ジュリアを愛していたのなら、夫婦の年月はいったい何だったのか。ベニスに死すのタジオだったトムがただの粗野なマザコンになってしまった。出所後のパトリックがどうしていたのかも知りたかった。

2022/09/08