出版社内容情報
空が近い。雲も近い。
当たり前に自分を満たしていた日常が、何もかも遠い。
――登山の最中に受けた、恩人からの無言電話。その後、知らされた恩人の滑落死。
全国の書店員が絶賛!
青春小説の妙手、額賀澪がおくる山岳ミステリ!
高校時代にスポーツクライミング部で名を馳せた主人公・岳。
訳あって大学では競技を続けないと心に決めていたが。
変人と噂される登山部部長の梓川穂高につかまり、幾度か一緒に山を登ったある日、岳のスマホを高校時代のコーチ宝田謙介からの着信があったのだが――
◆ 著者について
額賀 澪(ぬかが みお)
1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。
2015年、「ウインドノーツ」(『屋上のウインドノーツ』に改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞。
ほかの作品に『沖晴くんの涙を殺して』(双葉社)、『風に恋う』(文春文庫)、『できない男』(集英社)、『タスキメシ 箱根』(小学館)、『タスキメシ』(小学館文庫)など。
内容説明
高校時代にスポーツクライミング部で名を馳せた主人公・岳。訳あって大学では競技を続けないと心に決めていた。しかし、恋人と噂される登山部部長の梓川穂高につかまり、幾度か一緒に山を登ったある日、岳のスマホに高校時代のコーチ宝田謙介からの着信があったのだが―。登山の最中に受けた、恩人からの無言電話。その後、知らされた恩人の滑落死。額賀澪がおくる山岳ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
210
恩師の滑落死は自殺か事故死か?それは自分の所為?その思いが頭から離れない大学生・筑波岳と山登りに誘った一風変わった登山部の先輩・梓川穂高。「下界だと聞けないことや言えないことが、何故か聞けちゃうし言えちゃう」山はそういう場所なの?人を洗う場所なの?やっぱり私は山に登れないし登らない。けれど山頂から見える景色は素晴らしいのだろうなぁ。登山される方はきっと楽しく読めるだろう。ただ、穂高の言葉「慰霊のための山登りは、自分のためにするんだ。少しだけ軽くなって、少しだけ受け入れられる」この言葉はとても沁みた。 2021/05/17
ウッディ
192
高校時代にスポーツクライミングで活躍したが、コーチの薦めに逆らい大学での部活を止めた筑波岳は、コンビニ感覚で山に登る変人・穂高のいる山岳部に入る。雄大な景色と素直に胸のうちを話せる場所としての山に魅せられた岳は、かつてのコーチが山で亡くなったことを知る。山頂で食べる飯の旨さ、高山植物の可憐さ、そして自分の悩みが小さく感じさせる自然のスケール、ここしばらく山登りをしてなかった自分に山の魅力を思い出させてくれる一冊でした。恩師の死にまつわる謎ときに一役買ったミステリー研究会の会長が良い味を出していました。2021/07/10
のぶ
169
自分は若い頃にちょっと登山をやっていたので、山に関する本は嬉しいが、本作は寂しげな内容だった。主人公の筑波岳はスポーツクライミングの元一流選手。大学に入り山好きの梓川穂高と知り合い、登山に誘われる。幾度か一緒に山を登ったある日、岳のスマホを高校時代のコーチ宝田謙介が宝剣岳で転落死を遂げる。原因は事故なのか自殺なのか?筑波岳はいくつかの山に登りながら常にその事に悩まされていた。登山遭難を描いた物語は多いが、師と慕っていた人物の死の真相をこんな形で描いた物語は珍しいと思う。だがラストではすっきりした。2021/05/03
とん大西
158
爽やかです。山岳モノはそれときいただけで門外漢にとってハードルを少し上げてしまいがちですが、岳と穂高のバディでのぞむ瑞々しい登山に惹き付けられて一気読みとなりました。事故か自殺か。宝剣岳で滑落死した恩師宝田の忌わ際の思い…。苛み悔やむ岳、そんな彼に飄々としながらも手をさしのべる穂高。許したかった、許されたかった。蹉跌と喪失の先にたどりつく頂きに優しい風が吹いてくる。青春小説の王道ともいえる読み応え。後味爽やかで満足です。2021/05/30
matsu04
156
大学山岳部の青春物語。爽やかである。ちょいミステリ的なところもあったりして一気読みさせられる。山岳小説とまではいかないものの、山登りの楽しさ素晴らしさは十分に伝わってくる。2021/06/17
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