出版社内容情報
ふいに襲う殺人の幻視。
幻視者は「友」を止められるのか?
――恐怖と正義、友情の間で揺れる主人公の葛藤。
『記憶屋』の織守きょうやが描く、人間の闇を炙り出した渾身のサスペンス・ミステリ!
ある特殊能力のせいで、他人に関わらないように生きてきた久守一は、偶然、その力で美大生の佐伯が巷を騒がせる連続殺人犯だと知ってしまう。
社交的で人当たりもよく、とても殺人犯には見えない佐伯は、捜査線上に浮かんですらいない。
柄でもないと思いながらも、自分や後輩の身を守るため、犯行の証拠を探す久守。
しかし、友達のふりをしているうち、佐伯に対して本当の友情を感じ始めてしまう――。
◆ 著者について
織守きょうや(おりがみ きょうや)
1980年ロンドン生まれ。2013年『霊感検定』でデビュー。2015年「記憶屋」で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞。
ほかの作品に『朝焼けにファンファーレ』(新潮社)、『花村遠野の恋と故意』(幻冬舎文庫)、『響野怪談』(角川ホラー文庫)、『少女は鳥籠で眠らない』(講談社文庫)、『ただし、無音に限り』(東京創元社)など。
内容説明
ある特殊能力のせいで、他人に関わらないように生きてきた久守一は、偶然、その力で美大生の佐伯が巷を騒がせる連続殺人犯だと知ってしまう。社交的で人当たりもよく、とても殺人犯には見えない佐伯は、捜査線上に浮かんですらいない。柄でもないと思いながらも、自分や後輩の身を守るため、犯行の証拠を探す久守。しかし、友達のふりをしているうち、佐伯に対して本当の友情を感じ始めてしまう―。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
87
人の身体に触れると後ろ暗い未来が見えるという能力を持った大学生が後輩女子に誘われたボランティア団体で偶然触れた男性から連続殺人事件の犯人であると視えてしまう、犯行を止め、証拠を見つける為彼に近づくうちに、明るく社交的で才能ある美大生である彼に好感を持ってしまう。今まで幻視してもなるべく関わらないようにしてきたが、殺人だけに何とか止めたいと焦る、良くない事ばかり見えてどうすることも出来ない能力はしんどい、殺人に罪悪感も感じない犯罪者心理は理解できないが、こういう人間がいると言うのは恐ろしい。2022/05/16
さっこ
75
人に触れると、その人の未来が見える特殊能力を持つ久守。ある日美大生の佐伯から殺人を犯す未来が見えた。どうにかして殺人を止めたい久守は佐伯に近づき…。サスペンス・ミステリに青春のスパイスが入った作品。もう少しホラーがかったりハラハラするのかと思ったら、思いのほか軽い感じの作品でした。2021/06/20
ひさか
47
2021年5月二見書房刊。縦横を換えた装丁にインパクトあります。触れた人の未来が見える能力がある主人公が、シリアルキラーに触れてしまった。殺人を阻止しようとするサスペンスミステリー。単純なアイデアだけで構築されたストーリー。ラストでは、ズッコケてしまいました。2021/07/08
よっち
44
ある特殊能力のせいで、他人に関わらないように生きてきた久守一。偶然、その力で美大生の佐伯が巷を騒がせる連続殺人犯だと知ってしまうサスペンスミステリ。社交的で人当たりもよくとても殺人犯には見えない、捜査線上に浮かんですらいない佐伯。柄でもないと思いながらも、自分や後輩の身を守るため犯行の証拠を探す久守が、うっかり佐伯に感じてしまう友情。どうするのが正解なのか、葛藤する中で進む展開は意外な結末に繋がっていましたけど、狂気とありふれた日常を共存させる犯人から垣間見えるふとした思いがなかなか印象に残る物語でした。2021/05/29
おかだ
33
サラリと楽しめるミステリー。主人公は人の何かしら見てはいけない秘密的ななんやかんやが見えてしまう幻視という能力がある。なんか表現がフワフワしてるのは、この幻視のルールがなかなか掴めない…というか、後出しの真実がポロポロあって。え、そうやったん?え、そっちかいな?と何度も認識を軌道修正する必要があった。まあ、その後出しがあるから面白いんだけど、読み返すと辻褄が合わない部分もありそうな…。事件の真相は、まぁそうでしょうね、って感じで…驚かそうと思ったらこの人選になるわな、と冷静に受け止めてしまった。2023/12/21