出版社内容情報
故あって船宿『篠屋』の住み込み女中になった綾。人と船の行き交う神田柳橋に巻き起こる事件を、しっとりとした筆致で描く時代推理
内容説明
夜中、船宿「篠屋」に供ひとりを連れた侍がなだれ込んできた。追われているという。あとで知れたが、老中の小笠原壱岐守長行だった。唐津藩六万石の嫡子として生まれたが二歳で父を失い、幼すぎて藩主になれず三十六歳まで深川でひっそりと暮らした。だが、ある時、青天の霹靂のように脚光を浴び…。生麦事件の処理で「江戸を救った恩人」ともいわれていたが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
59
幕末の実在キャラが登場するのでそれはそれで楽しいが、船宿の女中物部分がもっと読みたい気もする。「夏草の詩」に登場するお千花さんの絵にかいたような悪女っぷりが好きだ。「帰りなん、いざ」はしっとりとした悲恋物。表題作に登場する小笠原長行、美和、捨丸、藤倉玄周等々は実在する人物の実際のエピソード部分が多いようなので興味深いが篠屋の綾の立ち位置が難しい2020/07/18
goodchoice
2
このシリーズももう4作目となり、江戸末期から明治べきかを移ろうとする世情と相まって、何となく騒がしい感じがする。その中で主人公の綾のしっかりした目線が面白い。2020/02/27
さ〜くん
0
小鳥のさえずり、茶屋の娘の声、橋を渡る雪駄の音、遠い三味線の音色に細い唄声。。。何気ない花街柳橋の日常の風景や音の描写がストーリーの中で登場人物を包んでいて、何とも言えないしっとりとした雰囲気が素敵でした。2023/08/01
-
- 和書
- 食いしん坊のお悩み相談