出版社内容情報
前作『廃墟ノスタルジア』から9年。独特の繊細な感性で写し出された廃墟写真集、ふたたび――。
内容説明
滅びゆく世界で密やかに息づく孤独な廃墟たち。気鋭の女性写真家による夢幻写真集。
著者等紹介
三五繭夢[サンゴマユム]
1979年、東京都生まれ。写真家。2003年、『廃墟ノスタルジア』(二見書房)を上梓。書籍、雑誌だけではなく、CDジャケットなどの撮影も手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
43
退廃的で耽美…。廃墟というもののイメージはこの一言に尽きるのでは…と思ってしまうのだが、この本を見るとそのイメージがいい意味で裏切られる。明るい光が射し、永続的に続くかのように見え、生命があった痕跡と新たな生命が、そこにはある。タイトルにあるように、廃墟とはサンクチュアリなのかもしれない。不可侵の領域、人力が介在しない場所、諦めることで永遠を手にしたユートピアとも呼べるかもしれない。かつて、人がいて、役割があって、名前も持っていた場所が、すべてを捨てて、ただそこにあるだけの存在となる。まさしく聖域である。2012/08/06
ひめありす@灯れ松明の火
37
人の怨念とか怨嗟みたいな強い感情が伝わってきて、見るのが辛い物も沢山ありました。けれど、それがふとした瞬間、とんでもなく美しく見える物と出会う。白くかさかさとして剥がれ落ちそうな壁。真っ白な光の差し込む天蓋。蔦の中に埋もれた扉。人の想いを浄化しきり、ただ物として風景として、そこに存在している物。そこまでいかないと、私は美しいとはまだ思えない。それはきっと日にち薬の様なもの。たとえ一時でも人に触れられた物は、人の記憶を持って生々しく存在する。それをなかった事にして自然へと還るには、長い長い、時間が必要なのだ2012/08/03
日々珠
21
吸い込まれる。ここを舞台に文学が始まるようだ。改装された読書コーナーに置くと、と想像する。価値観が広がっていいんじゃないだろうか。清潔もよし、が放置の絶望も自分に何ができるか考えさせられてよし。太陽が明るければなんとかなる気になるものだ、とも知る。2014/07/26
内島菫
20
廃墟の美とは何か。凄み、怖さ、孤独、かつてあった何か、本来とは違う何か、見てはいけないもの、垣間見られた秘密、不幸の運命性と美しさと倫理、すべては無に帰す、過去でもあり未来でもある見知らぬ記憶、時間の停滞、攪乱、逆流。これらのものも含めたもっと多くの廃墟が今も日本の各地にあり、今後増え続けていくであろうことを思うと、なぜか少しほっとする。2019/05/18
退院した雨巫女。
15
《書店》廃墟もいろいろありますね。お化けの出そう不気味な場所もあるし、怖いから、写真集で行った気分になりました。2012/07/01
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