出版社内容情報
引退を考えていたケラーのもとに殺しの依頼が。最後の仕事にしようと引き受けるが、実は彼を陥れるための罠だった。シリーズ完結作
内容説明
アイオワ州の切手ディーラーの店で、ケラーは遊説中のオハイオ州知事が何者かに射殺されたとのニュースを聞く。引退を考えていたケラーが、アルと名乗る男の依頼を最後の仕事にしようと、アイオワにやってきたのが数日前。やがてテレビに知事の暗殺犯としてケラーの顔写真が映しだされる。全国に指名手配され、ドットとも連絡が取れなくなったケラーの必死の逃亡生活が始まった―濡れ衣をはらすため、そして罠にはめた男への復讐のために。シリーズ最強と評価される傑作ミステリ。
著者等紹介
ブロック,ローレンス[ブロック,ローレンス][Block,Lawrence]
1938年6月24日、ニューヨーク生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、作品の数は50冊を超える。『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
96
ケラーが逃亡者の境遇に置かれることで過去の仕事で始末した人々を回想するシーンがたびたび挿入されるため、シリーズの総決算的な作品のように読める。しかしこの殺し屋の物語なのい終始落ち着いた雰囲気で展開し、なんとも不思議な余韻を残す。最終的に7人もの死人が出るにも関わらずこれほど熱を帯びない作品も珍しい。血沸き肉踊らない殺し屋の物語だが面白い。エキサイティングには程遠いが美味しい酒をチビリチビリと呑み、悦に浸るように味わえるのだ。これで最後かなと思ったら続編が刊行された。はてさてどんな物語が繰り広げられるやら。2016/11/06
くたくた
46
一気読み。今回はさすがにハードなアクションが加わるか、と思いきや、やっぱりケラーさんはケラーさん。どこまでいってもほろ苦くもほのぼの。思索多め、アクション少なめ。合衆国を東へ西へ、の逃避行も速度遵守、安全運転。決して爆走したりはしない。髪を刈り込んで、細縁眼鏡を加えたところで、イメージはこれまでの無表情でやや不気味な男から一点してハンサムでナイスなインテリ風に。やだモロ好み♪2019/03/10
GaGa
33
「八百万の死にざま」を読んだのが中学生か高校生だったから、30年ぶりにこの作者の作品を読んだ。面白かった。切手収集が趣味の殺し屋がはめられ追われる身に。そこは殺し屋なので手荒なことも含めての逃走劇(昨今多い、自分の置かれた現状よりも良心ばかりを重んじるタイプの主人公より、私には余程好感が持てる)そして流れ着いた場所はニューオリンズ、そこで…どうやらシリーズ四作目で完結編らしい。これは遡って読む価値あり。2011/10/20
Panzer Leader
31
大統領候補暗殺の濡れ衣を着せられて逃亡するケラーを描く初の本格的長編、と言うとサスペンスフルかと思いきや、そこは相変わらずユルユルの展開。多少血生臭い事件もあるが、逃亡しているはずなのに、ほんわかロード・ムービーの様。特にラスト近くのゴルフ場で右往左往するケラーさんには笑ってしまった。いいなあこういうの。家族持ちとなったケラーさんの次作も楽しみ。2015/11/22
シキモリ
29
シリーズ集大成となる本格的な長編。依頼人の罠にはめられ、州知事射殺犯の濡れ衣を着せられたケラーが逃亡生活を余儀なくされるという本来ならエンタメサスペンスに成り得る筋書きだが、当然そうはいかない。味付け程度の緊迫感はあれど、内容自体はどちらかと言うとロードノベルの趣がある。終盤でケラーは因縁の黒幕と対峙するが、こんなシュールな最終対決ありなの?淡々とした作風がこのシリーズの特徴ではあるものの、今回ばかりは流石に間延び感が否めなかった。次作を以て完結らしいが、家庭を持ったケラーがどう仕事に臨むのか見ものです。2021/04/29