内容説明
“更けて待てども来ぬ人の訪ずるものは鐘ばかり…”哀切きわまりない端唄“秋の夜”を聞いたときから栄次郎の歓喜は始まり苦悩は深まった。材木商木曾屋が殺され次いで研屋久兵衛が斬殺された。何の怨み?犯人は?昏迷する探索陣。一方、田宮流居合いの達人で三味線の名手栄次郎は初めての女に身も心も耽溺していた。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1983年『原島弁護士の処置』でオール讀物推理小説新人賞を受賞。87年『絆』で推理作家協会賞、89年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞。1947年、東京に生まれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chacha
6
シリーズ4 いつものお節介はなりをひそめ、色恋沙汰の展開。なんかなぁ、いつもの調子の方がいいなぁ。いくら芸のために恋をしろとはいうけど。話ができすぎで、お露も亭主もちで、、栄次郎ふっきって前に進みますかね。この印籠が目に入らぬか!ではなく、この御朱印の書き付けが!てありなの?2017/10/25
Western
3
ついに主人公が燃えるような恋に落ちてします。 しかし、ラストは悲しい結末に。 男の弱さを描きながらも剣の腕だけは抜群の強さを誇る。 折角名取になっても三味線の道は心が揺れて後退していく。 今後への展開はいかに・・・と思わせながら次巻へと続いていく。 2023/12/16
アンドレス
3
「残心」ということで栄次郎の愛した人への想いがテーマでした。それ以外にも結末が予想出来ずに最後まで楽しめる内容でした。 シリーズ4作目にして栄次郎には二人も恋焦がれる人が出てきてしまいましたが、今後は栄次郎のクールなイメージを保っていただきたいと思います。 5作目以降も引き続き読みたいと思います。2023/03/28
ひさか
3
2009年9月刊。文庫書下ろし。おせっかい路線は、なりを潜め、悲恋物語がテーマ。いつもの路線が、楽しくて、良いと思う。2015/10/02
FK
3
シリーズ第4作。唐変木の主人公が激しい恋をし、破れて、傷心のなかに終 わるというのがこの第4作。人が人を好きになるというのは、特にこれといった理由があるわけでもなく、気がついたら好きになって、ある意味、泥沼に足を突っ込んでしまっているわけだ。その切なさが少しは分かる。/秋の夜は/長いものとはまん丸な/月見ぬひとの心かも/更けて待てども来ぬ ひとの/訪ずるものは鐘ばかり/数うる指も寝つ起きつ/わしや照らされているわいな(P.31 『秋の夜』)2010/02/18