内容説明
究極のテーマで学ぶ、クリティカル・シンキング。歴史的事実を検証しながら最も合理的な結論に達する。新しい論理思考演習のテキスト、パラドクス・シリーズ応用論理編。
目次
“戦争犯罪”への多元的アプローチ―ホロコースト・南京事件・原爆投下
無差別爆撃は悪だろうか?―定言三段論法・二重効果
「罪のない一般市民」とは誰だろう?―事実と価値・アナロジーの誤謬
原爆投下はただの無差別爆撃ではない?―関連要因と無関連要因
核兵器は通常兵器より悪いのか?―意図主義
軍事目標としての広島・長崎の妥当性は?―意図(目的)の特定
“目標・日本”は人種差別だから許せない?―ポストホックの誤謬
原爆投下は戦後戦略の一部だったのか?―係留ヒューリスティクス
ヨーロッパ優先戦略は正しかったのか?―行為と出来事の区別・条件付き判断
原爆投下は真珠湾攻撃の報復か?―自然主義の誤謬・逆ポストホックの誤謬・わら人形論法〔ほか〕
著者等紹介
三浦俊彦[ミウラトシヒコ]
1959年、長野県生まれ。小説家。東京大学文学部美学芸術学科卒業。89年、同大学院比較文学比較文化専門課程修了。和洋女子大学教授。研究分野は、美学、形而上学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mits
3
この議論の是非はともかくとして(個人的には大部分賛同できるが)、このような技術に基づいた議論はこの設問に限らず実際のメディアの場で広く行われなければならないと思う。現実は、そうなっていないようだけれども…2008/12/04
キュウキュウ
2
応用論理学の演習書でありながら、原爆投下に関する質の高い(しかも中立な)研究書でもあった。本書は全体として論理の力で、原爆投下を肯定するが、あとがきでも述べられている通り分析哲学の手法を駆使して整理された 62 個の論点に丁寧に反論していけば最強の原爆投下否定論を構築することもできるようになっている。2015/01/24
Yuka Mura
2
社会人一年目にこの人の論理学3連作にはまっていた。 久々に本屋さんで見つけて、考えさせられた。 世の中には考えることさえタブーとされることがあり、この本で扱っているテーマもそのひとつ。 しかし、盲目的にそれを自分の意見としてしまって良いのか、自分で考えて納得した結果としなければ、上滑りしたものにしかならないのではないかと思った一冊。 この本と『新世界より』を合わせて読むと、正義とは相対的なものでしかないのだとゾッとする。 人には考える力があるのに、なぜとらわれてしまうのだろうか。 最近なぜあの戦争に
Meistersinger
2
東京裁判を「あくまでも司法作業の皮を被った政治行為」として遡及法の批判を退けるところは少し強引か。米国側の合目的性と日本側の原爆によって得た利益を示して「原爆投下を肯定するための論理構築」をみせてくれる(被爆者の写真などのイメージによる衝撃を「非論理的」とするところは納得できる)。2012/03/17
Hirotaka Nishimiya
1
あのアメリカによる広島長崎原爆投下は正しかったのか?というとてもセンシティブな話題を論理学的に議論していく異色の作品。この書の中での結論は非直感的であるし、細かには強引な論理構成もあるように思うものの、理論を理解するのは容易いロジカルシンキングを、活用するとはこのことかと、実例をもって示している稀有な内容。これから有用な議論をするためのヒントが随所に存在している。2019/04/16
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