出版社内容情報
喜国雅彦[キクニ マサヒコ]
著・文・その他
内容説明
せっかく多くの古本を蒐めても、墓場までは持っていけない―そのことに気づいた著者が、厳選に厳選を重ね、トランク一つ分に本を詰めてみたり、私家版『暗黒館の殺人』の製作に着手したり、再び日下三蔵邸の本棚整理に行ってみたり…。本を愛してやまない本棚探偵シリーズ、待望の第4弾!今回は特別にカラー口絵も収録。
目次
三たび只見へ
真夏のコンテナ
キーワードしりとり(小ネタ集)
トランク一つで死にたい
私家版暗黒館1 誘いの囁き
古本と骨董
壁を飾る
教師の手には本がある
二十九人の刺客
四十二年後からの使者〔ほか〕
著者等紹介
喜国雅彦[キクニマサヒコ]
1958年香川県生まれ。多摩美術大学油画科卒業。81年「ふぉーてぃん」でデビュー。2015年『本棚探偵 最後の挨拶』で第68回日本推理作家協会賞“評論その他部門”を、2017年、国樹由香氏との共著『本格力』で、第17回本格ミステリ大賞“評論・研究部門”を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
95
今回も本に纏わるおかしな面々のおかしな話や、喜国氏の本に対する至上愛が語られている。しかし今までと異なるのは喜国氏が古書収集に幕を引き始めたところにある。収集人生を畳み掛けているかのように読める本書はタイトル通り、本棚探偵最後の1冊になるのだろうか?作者も一区切りになるとあとがきで書いている。だがそうではないだろう。喜国氏ならばホームズの短編集に則って『~事件簿』までは書くだろうと確信している。従って有終の美という言葉は私は使わない。本当のさよならはその時にとっておこう。次も書きますよね、喜国さん?2018/04/19
へくとぱすかる
69
文庫化を待ちきれず、単行本を読みに図書館に走ってから、それなりに月日が流れ、とっくに文庫になっていたのに、気がつかなかった。改めて読むと本への執着はやっぱりおもしろい。文庫のハードカバーへの改装は私もやったことがあり、喜国さんの趣味には大いに共感できる。自分の絵を装丁に使えるというのは、他人にはできない強み。続編として『事件簿』を期待したい。2019/06/26
ホークス
40
古本で遊ぶシリーズ。ミステリーマニアなら倍は楽しいだろうけど、漫画的な酔狂さが素敵。例えば文庫誌「IN★POCKET」の連載小説を集めてハードカバーに仕立てる。凝りに凝って楽しそうだが、本人しか理解できない世界まで行ってしまう。「書痴」日下三蔵氏の書庫は本の密林。何故同じ本を何冊も買うのか尋ねると「売っていたからです」と答える。その整理にまたもや挑戦する。中高年のおっさん4人が新所沢のメイド喫茶に挑戦するくだりが秀逸。「萌え萌えドリンク🖤美味しくなあれ〜」のセリフに3回笑った。笑っちゃいけないか。2019/07/18
geshi
31
本が好き、本が好きな人が好きなキクニさんの一歩引いた客観的な視点が相変わらずの面白さを担保してる。北原尚彦さんがほぼ準レギュラーとなって現れ、レジェンド島崎博さんが思いもよらぬ行動に出て、日下三蔵さんといつもの如く出来ない本の整理を行う。古本にまつわる人達を見ているにつけ「自分はここまでいってないから大丈夫」と思いつつ「でも片足突っ込んでるのかも」と不安にもなる。東日本大震災の直後ぐらいでも本を読む欲求を抑えられない人間の力強さに安堵させられた。2017/11/13
阿部義彦
28
楽しかった。双葉文庫の新刊です。漫画家にして推理小説オタクのキクニさんの本棚探偵シリーズ、これにて完結です。驚き(失礼!)はこの本にて2015年の日本推理作家協会賞〈評論その他の部門〉を受賞してしまった事。おー瓢箪から駒か!私はこのシリーズが好きで文庫版で全て持ってます。日下三蔵さんはこの巻でも大活躍。同じ本を何故10冊も買うのか?の質問に「だって、売っていたから。」と答える強者。今回は娘さんも登場、キクニさんの「本すきですか?」の質問には静かに首を振る始末。←ウケました!とにかく最高な時間をありがと!2017/06/26