出版社内容情報
海難事故で行方不明となった主家の若旦那を捜し、全国を旅する新蔵は、長崎で唐船に救われた日本人の噂を耳にした。唐人の父親の見舞いに行くという少女とともに、新蔵は唐へと渡る決心をした。折しも唐では、阿片戦争が始まろうとしている波乱の時代だった……。長編時代小説。
内容説明
行方を絶った北前船には、恩義ある人の嫡男が乗っていた。破船の噂を頼りに、新蔵は一人の少女を連れ、長崎福江島を出港した。向かうは波涛逆巻く東シナ海の彼方、アヘン戦争まっただ中の清国だった。冒険時代小説、待望の文庫化!
著者等紹介
志水辰夫[シミズタツオ]
1936年12月17日高知県生まれ。雑誌ライターなどを経て、81年に『飢えて狼』でデビュー。85年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、94年『いまひとたびの』で日本冒険小説協会大賞最優秀短篇賞と「本の雑誌」年間ベスト1に輝く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NICK6
7
前作『疾れ、新蔵』が逃亡。今作は追跡である。緊急ではないから疾走感は前作ほどはない。今回も美女同伴。そしてゲゲッ、こんな男と同伴かってのがもうひとり。波乱の予感は、つまり面白くなる予感と同義。渡航直後も大船団包囲で危機の始まり。上陸すれば、時系列の横線、大陸移動の縦線。全方位でエンタメ導線着火。振幅が激しく、多喜多憂の嬉し泣き。でもこの時点、残り頁幅が細い!気付くと、出会いの驚異、危機の脅威もすべてが急旋回している。お急ぎモードにううむ、と唸る。だがしかし!いつもの志水節はしっかり健在だ。満足である。 2025/01/19
matsu
2
時代は阿片戦争真っ只中、舞台は中国大陸沿岸であるが、これは紛れもなくかつて俺が夢中で読み耽った志水辰夫のハードボイルドだ。渋い!渋いぜ!時代錯誤を承知で言うが、忘れてはいけない男の姿というものがあると思う俺だ。信じることと信頼に応えること、人としてあるべき人の有り様がここにはあると思うのだ。ああ、人としてこのようにありたいものだとしみじみ思う俺でもあるのだ。読めよ、友よ。読み終えてから気づいたが、どうやら未読の一冊の続編のようだ。問題ない。前日譚として読めばいいのだ。2022/04/03
バーニー
0
★★★☆☆ 2023/08/13