出版社内容情報
長篠の戦いで、ついに宿敵・武田を破った織田徳川連合軍。だが、ここ遠江から武田勢がすべて去ったわけではない。武田側の拠点である高天神城への補給路の寸断をを命じられた茂兵衛は、森に籠って荷駄隊への襲撃を指揮することに。初めて一隊を率いる立場となった茂兵衛はいかにして任務をこなすのか?
内容説明
長篠の戦いで、ついに宿敵・武田を破った織田徳川連合軍。勢いをかって、遠江から武田勢の一掃を狙う家康だが、常に浜松衆や東三河衆ばかりが先陣を任されることに不満を募らせる西三河衆は、嫡子・信康を担ぎだし不穏な動きを見せていた。そんな揺れる家中をよそに、武田側の拠点である高天神城への補給路の寸断を命じられた茂兵衛は、森に籠って荷駄隊への襲撃を指揮することに。野に伏し山に伏して好機を待つが、ある日、間者と思しき男たちを捕らえる。戦国足軽出世物語、権謀術策の第5弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
298
前巻以上に徳川家中の政治闘争がメインとなる巻。信康切腹という史実を、物語内の家康のキャラクターを、上手く損なわずに組み込んで消化している。下手をするとこういう場合、結果ありきで、無理矢理に手段をつけ足したような、違和感のある出来になってしまうが、軽妙な世界観はそのままに、家中の謀略戦は面白く読ませてくれる。砦番となった茂兵衛も、新たに問題児が部下として登場するが、そのあしらいは堂に入ったもので、もはやすっかり貫禄ある親父。調練がてらの狩猟シーンなど、主人公の章が物語の息抜きになっている場面もある。2022/08/01
ねこ
143
三河雑兵心得5巻。表紙の主人公、茂兵衛は黒漆の桶測胴、板札を黒糸で縅した当世袖の草摺。黒漆の桃形兜に金の前立を装備し長槍と刀、短刀を差し凛々しい。短期間ながら長根城主を歴任し正式に鉄砲足軽30名、槍足軽30名、小頭6名を率いる「物頭」であり、家康からの信頼も厚くなった。今回の見所は茂兵衛の東遠州の遊撃戦。38名の配下と2人の奉公人、案内役の万次郎を含めて死者0。戦略、戦術、人身把握、武者経験と新しい事を吸収する貪欲さ。人望と配慮、胆力。完璧な上司像ではないですか〜。だけどホントに歴史物なのに超読みやすい。2022/11/03
のり
101
武田との競り合いが続く中、足軽大将に出世した「茂兵衛」。しかし、敵は外ばかりではなく、徳川家内でも対立が浮き彫りになってくる。三河と岡崎の根は深い。家康の嫡男の「信康」の不穏な動き。信長の目も気になる家康は心身休まる時はない。茂兵衛も次々と危険にさらされながら、どこまで出世していくのか…2023/07/02
ぶち
98
前巻でついに武田軍を破った織田徳川連合軍。 茂兵衞の出世も停まりません。足軽大将になりました。任務は、武田との国境(青崩れ峠)を睨む砦の総責任者。砦とはいえ、小さな山城。武田軍との国境という最前線に在る重要拠点です。いやぁ、百姓からとうとう大将と呼ばれる身まであれよあれよと出世しちゃいました。この時代の戦闘はまだまだ肉弾戦が多く、その描写は凄惨にすぎますが、戦略・政略を読むのは史実の種明かしを読むようです。足軽の立場から徳川家康の戦いを描いている点も面白い点です。2022/11/03
やま
98
武田と争い三河、遠江の領有をめざす徳川家康に仕える植田茂兵衛の出世物語です。徳川の軍は、西三河岡崎城の家康の嫡男松平信康を擁する岡崎衆。東三河吉田城主の酒井忠次率いる吉田衆。家康の主城である遠江浜松城の家康直属の旗本先手衆である浜松衆の三つからなっています。茂兵衛は、武田の遠江の補給路を断つ作戦を命じられます。その後、足軽大将に昇進して俸給は120貫(約1200万円)。石高に直せば240石前後。🌿①➁へ続く→2022/03/02