出版社内容情報
引きつづき老中・本多出雲守の下屋敷で、徳川の若君の身代わりをしている八巻卯之吉。それでそっくりな若君は何をしているかというと卯之吉の代わりに“凄腕同心”に。――若君を狙う者がまたいつ襲ってくるかもしれぬ。「上様は抜け穴を掘れと仰せじゃ」。富士島ノ局が下屋敷の下に穴を掘るよう伝えるが、これは実は地下から屋敷を爆破しようという恐るべき計画だった。若君、いや卯之吉が危ない!! 大好評シリーズ、面白さ驀進中!
内容説明
武勇の誉れ高き徳川家の若君・幸千代は「江戸の町を守る」と“八巻卯之吉の代役”同心を続けている。一方、太平楽な卯之吉は、老中の屋敷にて幸千代の替え玉を呑気にこなす日々。そうとは知らぬ姦計の一党は、表向きは抜け穴作りと称して屋敷の地下を掘り進め、幸千代の命を狙う。若君、いや替え玉の卯之吉の身が危ない!陰で糸を引く人物はすぐ近くにいる!頼もしき周囲の働きも得て、謀略を阻止できるか。緊迫と小気味よさと感動が詰まった第24巻!
著者等紹介
幡大介[バンダイスケ]
1968年、栃木県生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。テレビ局嘱託職員、CM制作会社に勤務。95年、文筆業に転じフリーライターとして活躍。2008年「天下御免の信十郎」シリーズ(二見時代小説文庫)で時代小説作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
56
将軍家のお世継ぎ影武者騒動を軸にして単発の事件が繰り広げられていくところをみると、どうやらほんとうにドラマに合わせた筋立てのようだ。お世継ぎの若君様は命を狙われる立場でありながら、同心として事件に関わったり、その影武者の卯之吉が知らずと事件を解決したり、双方が程よく絡んで面白いが、前作もそうだが影武者の筈の卯之吉がひょいひょいと屋敷を抜け出せてしまうのはドラマならではのご愛嬌、といったところだろうか(笑)、それにしても、影武者の卯之吉と同心の若君様に同時に使える銀八の苦労は並大抵でないことは確かである。2023/02/14
yamatoshiuruhashi
48
シリーズ24巻めにして初の短編集3話形式。そしていつもの馬鹿馬鹿しい調子良さの他に登場人物のそれぞれの過去に伴う少し沈鬱な雰囲気をまとった話ばかり。なるほど表題通りである。若君様は未だ本多屋敷に戻らず同心暮らしで張り切り、卯之吉は若君の替え玉と医者であり探偵である役回りを果たしていく。卯之吉、なかなか名探偵ではないか。それぞれの短編の事件、一つ一つは解決するのだが、その黒幕はそのままで大団円はまだ先のようだ。2023/09/28
はにこ
37
相変わらず狙われ続ける若君。若君は武芸が優れているけど推理はやっぱり卯之吉の方が何枚も上手だねぇ。偽金騒動は未だに解決せず。弥五郎さんの悲しい過去。由利ノ丞のことを好きなところを告白する弥五郎。これからも弥五郎の光となってあげてほしい。2022/01/12
Makoto Yamamoto
24
精巧にできた偽小判の流通で、江戸の景気は底を這うようで上昇の気配は見えない。 そんな中、将軍の弟幸千代と瓜二つの卯之吉。 影武者というより入れ替わってしまったのが、前作。 今回は周りの同心、幸千代、弥五郎が中心で卯之助は「動く骸」でらしさをみせたが、全体として今少し。 次巻での卯之助の活躍を期待。 このままではシリーズへの興味を失ってしまいそう。2021/07/01
二分五厘
23
前巻から将軍の弟君・幸千代と同心・八巻卯之吉が入れ替わったままの状態で迎える24巻。正直25巻を先に読んでしまったので、悪党達の末路は知っている…から、今巻で奸計めぐらす彼らの足掻きっぷりを笑ってやろうと思ってたんだけどなぁ。本多出雲守屋敷の爆破騒ぎの裏で散った悲恋『尾上の恋』、弥五郎の過去が明らかになる『かりそめ父娘譚』、これを先に読んでれば次がもっと痛快だったか。卯之吉の出番が少ない上に、出たら医者としての見解を披露するわ、さっさと真相を当ててしまうわ、なんだかもっと、ちゃらんぽらんでいてほしいのに。2021/06/22
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- 和書
- 艶本江戸文学史 河出文庫