出版社内容情報
17世紀、無敵の王国エスパーニャ(スペイン)に渡った慶長遣欧使節のなかに、彼の地にとどまった二人のサムライがいた--!! 武士の誇りを捨てず、鮮やかに剣を遣う小寺外記と瀧野嘉兵衛は「男の中の男」と称えられ宮廷で人望を得る。だが、フランス、バチカンらエスパーニャを狙う権力闘争は激化し、二人は美しき王妃の秘密にまつわる巨大な隠謀に巻き込まれていく。現代セビーリャと往時の絢爛たるマドリードを舞台に描く歴史冒険活劇。解説・細谷正充。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
62
17世紀のエスパーニャ。慶長遣欧使節ながら彼の地にとどまった侍の外記と嘉兵衛の活躍を描く歴史大作。スペインの地名人名がどっと出て戸惑ったが、すぐ慣れる。お話がスピーディーで、特に本題の過去パートに入ってからは海戦、潜入、脱出と活劇場面の連打に心奪われた。西洋講談として秀逸の面白さな上、侍や忍者の技で危機を乗り切る展開に高揚。冒険ロマンとしてだけでなく、政治や宗教、芸術などの蘊蓄や視点が興味深く、陰謀劇としてもたいへん読ませる。伝奇的奇想が炸裂し、読み応え抜群の一冊。現代で始まって現代で終わる構成も、良し。2022/10/18
たち
42
慶長遣欧使節団の何人かが、スペインに残った話は知っていたので興味深く拝見しました。画家のベラスケスや、劇作家のカルデロン、そしてハポン(日本人)のサムライ…。様々な登場人物が、一難去ってまた一難の大活躍をします。まさに冒険活劇とはこのことですね。2022/10/31
ワッピー
31
初読みの作家さん。セビージャのフラメンコダンサー・リディアの持つ不思議なロケットに端を発する壮大な物語は慶長遣欧使節に遡る。スペインに残留した日本人武士と美姫の恋に、国王フェリペ4世をめぐる陰謀、ベラスケスの名画と異端審問官が絡み、さながら豪奢な泰西洛外図のよう。小寺外記と瀧野嘉兵衛は王妃の依頼を受け、バチカンに奪われた秘密日記を取り戻す旅に出るも、敵の妨害工作が次々と炸裂、形勢は二転三転、最後の奇蹟とお約束のボスキャラとの決闘まで一気読み。スペイン黄金時代の光と影を堪能しました。「天の女王」改題。2020/08/02
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9
第八章『天の女王』の奇跡に浸りました。スパニッシュなリズムが少し新しくて、読み慣れないけど、何となく陽気になる。 そういえばリディアの部屋は誰かに荒らされたんだっけ?って言うくらい序章と終章が薄い印象でちょっと残念。2020/08/06
読書好き・本屋好き堂
8
17世紀、無敵の帝国エスパーニャが舞台の歴史時代冒険小説✨ 序章は現代から始まる。リディアの亡き母の祖母から受け継いだペンダントをスペイン文学を研究している島本俊介に見せるところから物語は始まる😊 舞台は、17世紀に移るとすぐ二人のサムライの仕事場面から始まる! すぐに17世紀のエスパーニャの世界に引き込まれました✨ スペインが舞台の作品は珍しいので、本当に興味深く面白かったです😊 先生の描くサムライは、いつもすごくかっこよくて、今回も忍者の技満載の戦闘シーンに最後までドキドキでした😆2022/12/01