出版社内容情報
天正十年六月二日、本能寺にて起きた謀叛劇。自害して果てる寸前「是非に及ばず」と洩らし笑みを浮かべたという織田信長の真意とは? そして、事件から十五年以上が経った頃、変の首謀者・明智光秀をめぐり武将たちの策謀がはじまるーー。「本能寺の変」の常識を覆す傑作歴史小説。
内容説明
織田信長が本能寺で横死してから十数年後、太閤秀吉が死に、天下はにわかに乱れはじめていた。そんな時世、「本能寺の変で亡くなる間際、信長公は“ぜひに及ばず”と呟いて笑みを浮かべた」という噂が巷に広がりだす。その裏には、本能寺の変に隠された恐ろしい陰謀と太閤亡きあと、天下をうかがう戦国武将たちの策謀が渦巻いていた。歴史小説界の新鋭が放つ衝撃のデビュー作、待望の文庫化。
著者等紹介
辻大悟[ツジダイゴ]
大阪府出身。編集者、フリーライターなどを経て著述業に。日本史のみならず世界史をふくめた歴史全般に深い造詣があり、その知識を活かした『信長の笑み、光秀の涙』が小説デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Moeko Matsuda
13
こちらの作品、父に薦められて読んだのだが、予想の1000倍くらい面白かった。本能寺の変をめぐる歴史ミステリといったところだが、出てくる人物が全てリアリティがあり(それもそうだ。記録に残っている人々を登場人物にしているのだから)、どの人物も善悪は別にして大変魅力的だ。私にとっては全く新しい明智光秀像だった。ちょうど大河との兼ね合いで光秀関係の本はたくさん出ているし、読んでみようかな。また、忍び達の活躍も非常に興味深く、前々から積読になっている忍者に関する本を読みたくなった。2020/04/26
熱東風(あちこち)
3
数ある『本能寺の変の真実とはこれだ!』的な小説。本能寺の変に関わる真実を追究するという点においては正直今一つだけど、ミステリーとして読めば、そこそこ面白かったのではないか。フィクションとして楽しめれば問題ないかと。光秀が信長にいじめられていた――というような荒唐無稽な説を、いわば逆手にとったストーリー仕立ては悪くないと思う。/52頁に誤り。京極氏は清和源氏ではなく、宇多源氏です。2021/09/26
tubaki
2
この本を読み終えて、本当の事は置いておいてこのような光秀であったらと思っていた自分に気がついた。登場人物をネットで検索しながらいかに「本能寺の変」は複雑に絡んでいた事も。今では「是非に及ばず」の自分の解釈は違うかも?と思った。小説とはいえあの時代に生きている人々の息使いまで感じられた。2021/05/24
perican
0
最近、歴史ものでありながら、ミステリー(推理小説)っぽい作品によく出会うようになった。 明智光秀は実は生きていて徳川の世になってもまだ健在でありというはじまり。それでもワクワクするが信長の笑み、光秀の涙というタイトルにジーンとくる結末。2021/11/25