内容説明
隠密廻りを解かれた後も、相も変わらぬ放蕩ぶりを貫く八巻卯之吉のもとに、大名の家中を名乗る美少年侍が現れた。卯之吉を江戸一番の辣腕同心と勘違いし、内密に仇討ち相手を探してほしいと頼みこむ姿には深い事情がある様子。まるでお門違いの依頼だったが、卯之吉はゆるりと受けてしまう。しかしそれは、花の吉原をも巻き込む大騒動の始まりだった。絶好調シリーズ第十三弾!
著者等紹介
幡大介[バンダイスケ]
1968年、栃木県生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。テレビ局嘱託職員、CM製作会社に勤務。1995年、文筆業に転じフリーライターとして活躍。2008年、「天下御免の信十郎」シリーズ(二見時代小説文庫)で時代小説作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
56
安定の面白さではあるが何冊か続けざまに読んでいると大富豪同心八巻の…いや卯之吉の奇態さに慣れてしまうので時間を開けて分けて読んでいる。今回は剣豪同心八巻に挑む手練れの浪人、どうやら大名家に仇としても狙われているようで、それがひょんなことから卯之吉と知り合い、何事も他人事な卯之吉から八巻との立ち合いを応援されてしまう。果たして竹本浪人の運命や如何に!?2020/12/03
yamatoshiuruhashi
55
大富豪同心シリーズ13作め。初めは章名「春の憂鬱」のとおり陰気な本シリーズに似合わぬ暗さで始まる。爽快感を味あうための本シリーズだと思うとそぐわない。が、卯之吉の登場で調子外れのいつもの調子。美鈴も水谷弥五郎も敵わぬ剣客が出てきて敵に回るかと思っていたら、めでたしめでたし。やっぱり娯楽作品はハッピィエンドでなくっちゃ。とは言え、天満屋は捕まらず裏で画策する天満屋との対峙が今後の中核となるのだろうと予測。まあ時代考証細やかにして蘊蓄語りながら気楽に読める娯楽小説です。2023/09/05
とし
37
大富豪同心「春の剣客」13巻。今回も周りのみんなの大きな勘違いから、事件が解決する、殺伐としたところが無く面白く楽しく読めるので良いな~。ますます知名度アップと卯之助さん、少しづつ成長したのではと思う。2013/12/23
はにこ
36
この世に失望感を抱く竹本、最後に卯之吉と戦いたいと願う。そんな竹本を探して欲しいと少年から卯之吉に依頼が!弥五郎より強い剣客がどうなるのか最後まで展開が分からず面白かった。卯之吉はナヨナヨだけど、頭の良さと懐の深さはピカイチだね。まだまだ天満屋との戦いは続くのね。2021/07/11
ベルるるる
36
今回登場した浪人の竹本新五郎。ひたすら清冽に、一心不乱に、高みを目指して剣術に打ち込んできた人生。それなのに、47歳になった今、ひとりの友もなく、剣の腕を切り売りする用心棒稼業。しかも冤罪で追われる身。可哀そうで泣けてきた。卯之吉のお陰で敵討ちから追われる身ではなくなった。どこかで骨接ぎの先生として幸せになってほしい。2018/11/13