内容説明
天明三年盛夏、隅田川左岸の小梅村で穏やかな暮らしを送る坂崎磐音は、参勤上番で江戸に出府する関前藩主一行を出迎えるため、父正睦とともに六郷土手でその到着を待っていた。旧主福坂実高との再会を果した磐音だったが、随行してきた一人の若武者から思わぬ申し出を受ける。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、超人気書き下ろし長編時代小説第四十二弾。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』以後、スペインをテーマにした作品を発表。99年、初の時代小説『密命』を皮切りに次々と作品を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ガクガク
114
豊後関前天明の騒動3部作完結編。今回珍しくタイトルの「木槿の花」が何度も出てきた。あまり出てくるとかえって印象が薄くなる気もするのだが・・・。磐音の父母正睦・照埜の江戸暮らしも藩主の参勤上番を待つため長くなるが、物語は概して穏やかに進む。直心影流尚武館坂崎道場を再三あの手この手で妨害してきた江戸起倒流鈴木清兵衛道場だが、ラストの事件でついに磐音の「堪忍袋の緒」が切れる。大勢の門弟たちが見守る中、清兵衛と道場主同士の一騎打ちはまことに胸のすく場面だ。「佐々木磐音、未だ青し」・・・青いところもあった方がいい。2014/12/15
文庫フリーク@灯れ松明の火
93
「この尚武館の先生はわしと同じ浪々の身から徳川家基様の剣術指南に出世した。だがな、そのことが坂崎磐音の偉さの証ではないぞ。わしのような昔の仲間を見捨てんで、かように遇してくれる、そのことが坂崎磐音の偉さよ」森見登美彦さんの言葉を拝借「武左衛門、いいこと言った!」藩主後継者・俊次のできが良いだけに、武左衛門の息子・無頼の修太郎の今後が楽しみ。その俊次を襲い、船頭と従者・霧子に毒を仕込んだ槍と矢で生死の深手を負わせた起倒流鈴木清兵衛一味。堪忍袋の緒が切れ、尋常な勝負の体裁で打ち倒す磐音。「未だ青し」と→2013/01/17
藤枝梅安
65
関前藩江戸屋敷の騒動が収まり、磐音の両親が関前に帰ることになり、別れの宴が催された。関前藩の継嗣・福阪俊次が磐音の道場に通い始める。江戸起倒流道場の門弟や雇われた浪人達が相次いで小梅村の磐音の道場や関係者にちょっかいを出し、その都度撃退する磐音一統。腹に据えかねた磐音が珍しく感情をあらわにし、驚くべき行動に出る。佐野政言の決起までのカウントダウンが始まった。2013/02/12
kazu@十五夜読書会
56
騒動を無事に治め両親を故郷に見送ったのだが、子持ちになりすっかり落ち着いてしまった磐音さんの、久しぶりの怒りの剣。頼りになる霧子さんの負傷にはびっくりしました。利次郎の看病で急接近?(恋の成就)おなじみのメンバーの近況等サービス満点だが、「奈緒」の消息が心配。2013/01/15
あっくん
47
シリーズ第42巻。霧子が毒矢に・・・怒った磐音が敵討ち。霧子の無事を祈る。2018/02/03