内容説明
町火消しと魚河岸衆の喧嘩仲裁を成し遂げた筧忠兵衛は、密かに定海藩を抜け出て江戸へ来た奥女中紗智になじられながらも、揉めごとの仲裁で得た礼金で江戸での暮らしを立てることになった。蔵宿師の浅井蔵人が暗躍しはじめる一方で、定海藩主の命を受けた御側御用取次神原采女は、姑息な手段を用いて忠兵衛を謀反人として葬ろうとする。書き下ろし長編時代小説、爽快第二弾。
著者等紹介
芝村凉也[シバムラリョウヤ]
1961年宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。二十数年のサラリーマン生活を経て著述活動に入る。学生時代に、映画サークルでシナリオ作成に励んでいたことを突如思い出し、前職退職直前より小説の執筆を開始。2011年5月『返り忠兵衛江戸見聞春嵐立つ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
70
返り忠兵衛江戸「湿風烟る」2巻。人質にされた与茂平を単身忠兵衛を愚弄するわらべ歌を口ずさみながら、忠兵衛ただ一人で藩邸に乗り込むが、かって忠兵衛に恩を受けた火消し組と魚河岸と漁師組、町方迄も声援する事に。忠兵衛さんしっかりと市中に根付きましたね、爽快でした。 2022/04/11
やま
63
総合武術の立見流を遣う筧忠兵衛の活躍の物語です。忠兵衛は、遠州定海藩主・樺島直篤の命を受けた御側御用取次・神原采女正の謀にかかり、忠兵衛の世話をする与茂平が神原に捕まり拷問される。神原は、与茂平を餌にして忠兵衛を下屋敷に誘い込み殺そうとする。誘いに乗って与茂平を助けるために単身下屋敷に乗り込むと、突棒や刺股、鞘を払った本身の槍を携えた多くの藩士に取り囲まれた。その時、忠兵衛が、喧嘩の仲裁をした江戸の火消しと魚河岸の男ども数百人集まり、火消しが木遣り唄を唄いだした。その唄声が下屋敷内に轟いた…。→2022/10/13
tengen
34
江戸を真っ二つに割る火消し組と魚河岸・漁師組の大喧嘩を裁いた忠兵衛はその後、仲裁屋を生業にすることとなる。だが、潜に暮らすべき身が大騒ぎに関わったことでその所在を藩庁に知れてしまう。そうとも知らずに剣の工夫にひと思案の忠兵衛。最初に頼ったかつての道場仲間である御用人・浅井蔵人は忠兵衛をダシに悪だくみを進める。地元で不忠義と風評された忠兵衛は、何と「返り忠兵衛」と呼ばれるのであった。 そして与茂平が勾引かされ忠兵衛は藩邸に呼び出される。絶体絶命。2017/11/26
海猫
18
まだ書きように多少の硬さは感じるが前作同様爽快で面白い。主人公に魅力があるのがまず強く、人情ドラマあり剣戟ありで読ませる。クライマックスには大立ち回りもありカタルシスのある展開もあって後味も良い。2013/01/09
ひかつば@呑ん読会堪能中
12
藩の姦計で謀反人として追われる若き侍、筧忠兵衛の第2弾。前作の翌日から始まるという設定がいい。前半は江戸の大喧嘩を裁いたことで町人間の仲裁人として新たな仲裁依頼が後を絶たないという穏やかな話だったが、藩にも恐ろしい切れ者がいたもんだ。後半は強敵、藩主の御側御用取次の鋭さ、賢さだけでなく腕の凄味も見せつけられるとともに、陥穽に嵌らざるをない状況にハラハラドキドキの連続であった。いやぁ目が離せませんな。2012/11/25