出版社内容情報
備前包平の研ぎを頼みに本所の鵜飼百助を訪ねた佐々木磐音は、本所深川界隈で新年の挨拶を済ませ、神保小路への帰路についていた。両国橋で只ならぬ妖気とともに立ち現れた丸目歌女と遭遇した磐音は、先の戦いで磐音に敗れた丸目高継の死と磐音への復讐を告げられる。そんな折り、西の丸家基の剣術指南役を解かれた磐音は、近日中に家基一行が鷹狩りに向かうことを知らされ・・・・・。西の丸家基をめぐり、磐音が田沼意次の陰謀に立ち向かう。著者初の上下巻、2冊同時発売。
内容説明
萌えいづる草木が江戸に春の風情を漂わす頃、神保小路の尚武館道場に老中田沼意次の用人が現れる。稽古を見物したいというのだが、同道した武芸者を嗾けたことで、佐々木磐音は真剣での稽古をなすことに…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、著者渾身の書き下ろし痛快長編時代小説第三十二弾。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』以後、スペインをテーマにした作品を発表。99年、初の時代小説『密命』を皮切りに次々と作品を刊行、時代小説の旗手として高い評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ガクガク
90
32巻は本シリーズの大きな山場。関前藩のお家騒動から脱藩して、長屋の浪人暮らしを経て江戸随一の道場主へと、変則的ながらそれなりの「出世」をし、数多の難敵を倒しこれまで無敵の磐根だったのだが、「剣の道」ではどうにもならぬ運命に翻弄される。最後のクライマックスはまさに急展開で、「振り出しに戻る」感の結末が待っている。世の常だが、個人の力ではどうにもならない力にねじ伏せられて、悄然と立ち尽くす磐根・・・。ラストは絶望の中に一縷の希望も見えるのだが、この先どうなるのだろうと読者をやきもきさせ、かつ期待も抱かせる。2014/07/19
はつばあば
50
なぜだかこの32巻の映像が浮かぶんですね。以前この巻の部分観たことがあるのでしょうか。欲をなす政治家に天誅を!って言いたいけれど、若くて次期将軍などと言われ育てられると、脇が甘いし周りの者は振り回され・・大先生とおえいさんは家基の追い腹切ったようなものじゃない。おこんさん、一足遅かった、ほんの少し前に孫報告できていたなら・・と。はぁ・・これから反田沼派の先行きを思い遣る。だってまだまだ田沼は権力を維持するんですもの。磐音とおこんさんにも茨の道が覆うだろう。そうなんです人生なんて一歩先は闇ですもん。2022/03/14
あっくん
41
シリーズ第32弾。家基の暗殺は史実通りなのだが、玲圓夫妻がまさかの・・・。今後、どうなるのか。2017/12/06
文庫フリーク@灯れ松明の火
36
家族で読んでます。来るべき時が来た感じ。史実は曲げられない。待望のおこん懐妊・小田平介が道場留守番で残っているのが救い?佐々木玲圓夫妻に合掌!2010/01/10
TakaUP48
35
共に町湯に浸かっていた金兵衛均から「純真無垢な心根で剣術ばかりでは敵は倒せぬ。泥水のついた話も耳にせよ」の言葉に、磐音は衝撃を受ける。養父・玲圓から裏菩提寺の存在を知らされる。家基は新井宿付近での鷹狩りへ行くが、鷹狩りの帰り体調を崩し、薬を処方されるもその効果なく安永8年2月に死去。早速、幕府より佐々木家へ上知令が下る。道場閉鎖・即日転居。磐音・おこんらは今津屋に世話になることとなり、道場に帰る際、盲目剣客・丸目と孫娘との決着を。母屋に足を運んだ磐音が目にしたのは、養父養父母とも変わり果てた姿…絶句! 2019/07/16