内容説明
美濃屋の一人娘のおりんが失踪した。ちょうどその頃、京都の公家の御落胤と自称する若者が大坂の町で評判となっていた。呉服商若狭屋の跡取りの甲次郎と大坂東町奉行所同心の丹羽祥吾は、失踪事件と御落胤騒動に深いつながりがあることを探り出すが…。甲次郎と千佐、祥吾と信乃の恋の行方は!?好評シリーズ第四弾。
著者等紹介
築山桂[ツキヤマケイ]
1969年、京都府生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得。日本近世史の研究論文を発表しながら時代小説を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡本匠
7
築山桂の江戸時代の大坂を舞台とした時代物。江戸時代は江戸だけではなく、大坂にも京都にもドラマがあったという事。もっと言えばどのような地方であっても市井の人々が様々な生活を営んでいたわけであり、そう考えれば、時代物のバリエーションも更に広がって行くのだろう。(既にあって読んでいないだけかもしれない)でも、この作者はずっと大坂であり、その拘りが好ましい。2017/03/15
あかんべ
5
親の顔を知らない者達三人。甲次郎、才次、佐助、それぞれの思いは共通する所があるが、やっぱり昔を割り切ってげた職人として育ての親方に心を寄せる才次が一番好ましい。2014/05/04
山内正
2
若狭屋の隣店近江屋に捨て子が有り 調べる内近江屋に拾われる様に仕組まれた事が解るが軒親として育てる親は町役人が探す事になる そんな折ご落胤の噂が流れ 成り行きが混沌とする中甲次郎は 生みの親を探しに掛かる 誰の元が良いのか成り行きが?2018/04/17
静間
1
大阪×江戸時代。四巻。今回は捨て子と御落胤の話。一度捨てられても・離れても付いて回る血筋の話。主人公の甲次郎自身も大阪で一番の実力者である城代の御落胤であるから、複雑な心理が描かれたいて良かった。そして、おどおどしていた近江屋の主人が「うちの子になる子は、近江屋以外に家があっては困る。人には居場所は二つも三つもいりません。一つでええ。」ときっぱり言った台詞は気持ちよかった。そしてなんだかずっしりと私自身、考えさせられた。題は「迷い雲」だけど四人の恋は路が決まったみたい。千佐が幸せになれますように。2012/10/21