内容説明
文学の発生と同時に存在していたのが、恐怖の物語である。そこからいかにしてホラー小説がジャンルとして確立されたのか。西欧ホラー小説の系譜をたどり、その特性を考察する。さらに、近代が生んだ三大モンスター、フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男を論じ、究極のモダンホラー・ベスト100を選出。ホラー小説の本質と魅力を語り尽くす。
目次
第1部 西欧ホラー小説小史(一八世紀―ゴシック小説とは何か;一九世紀―ゴースト・ストーリーと科学;二〇世紀―モダンホラーからポストモダン・ホラーへ)
第2部 近代が生んだ三大モンスター(フランケンシュタインの怪物;吸血鬼ドラキュラ;狼男)
第3部 究極のモダンホラー・ベスト100(テーマ別ベスト長編60;アンソロジーと個人短編集別ベスト中短編40)
著者等紹介
風間賢二[カザマケンジ]
東京都生まれ。出版社勤務ののち、海外幻想文学やポストモダン小説の紹介・翻訳を(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kouro-hou
15
NHKカルチャーラジオ講座が面白かったのでこちらにも手を出してみました。ラジオの講義の声で再生されましたw ゴシック・ロマンスからの異端文学史としてのホラー解説で、ラジオ版より作品解説が深い。特にレ・ファニュの「緑茶」の主題解説には目から鱗が。裏通りを行く大衆小説だけに時代や流行や映画や柳の下のドジョウに左右されやすく、アーカムハウスの限定商法やホラーブーム終息後の生き残り戦術には涙が出ます。もっと狼男に愛を!w 最後のブックガイドはジャンル分けが細かく、いじめホラーなど細かい好みにも対応してます。2014/08/14
ハチアカデミー
10
ホラー小説勃興の歴史的背景を概略し、さらにはフランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男の歴史的特性を考察、さらにはホラー小説の歴史的名作を知ることができるというとかく使える一冊。コンパクトながらも、文学としてのホラー小説を網羅的に知ることができる。とはいえ、単なるガイドブックに収まることなく、狼男を巡る考察やモンスターの生まれる背景などをしっかりと学ばせてくれるから凄い。全体的に早送りな印象は否めないが、ブックガイドとしても論考としても充実した一冊なのである。映像と小説の交錯を巡る論も刺激的!2014/08/12
ぎん
6
普段はホラーをエンターテイメントとして読んでいるので、ホラー小説の全般にわたる評論は新鮮。キングの処女作「キャリー」と第2作「呪われた街」の主題をそう読み解くのか、などなど普段の読書では気づかない着眼点が面白かった。 第3部の「究極のモダンホラー・ベスト100」は知らなかった作品を紹介してくれているので、今後の本選びの際に活用しよう。2014/07/03
S_Tomo🇺🇦🇯🇵
3
欧米のホラー小説について、その歴史・三大スターモンスター(吸血鬼・フランケンシュタインの怪物・狼男)の解説・邦訳されているホラー小説100作の紹介、という三部構成で網羅した一冊。特にホラー小説100作は短いながらもどれもが読んでみたくなる絶妙な紹介文で睡眠時間が減りそうな恐怖を味わえる(笑)2014/07/23
おたおた
2
ホラーの歴史をたどる一冊。一冊一冊を読むことはあっても、このようなジャンルの変遷を気にしたことがなかったのでとても新鮮。確かにドラキュラとか読んだことないなあ。紹介されている本はどれも面白そうなので、是非見付けたら読んでみたい。2016/08/30