感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
6
新聞記者が事件を解決する、いわゆるブン屋もののさきがけとしてある島田一男の『社会部記者』シリーズ。一見、タイトルからは社会派的な印象を受けてしまうが、なんのなんの、これはれっきとした本格ミステリなのであった。山村正夫の解説を読めば、戦後に起こった江戸川乱歩と木々高太郎との本格VS文学論争において、島田は乱歩が提唱する本格派の一翼を担う作家だったようだ。その証拠に本書に収録された短編は、記者が主人公でありながらも、事件そのものは奇想で彩られている。そしてその奇想が、ロジックな推理によって解かれていくのだ。2010/01/27
ita
2
日本推理作家協会賞受賞作。殺人事件を取材、報道する記者たちのお話の短編集です。会話のテンポが良いのはいいのですが、どうも私には馴染めませんでした。 星二つ(☆☆ーーー)2022/11/08
よし
2
昭和の作家シリーズその2。島田一男さんは亡き母が愛読。いつか、読まなくてはと思っていて、日本推理作家協会賞受賞作の本作を手に取りました。作者は満洲日報で15年の記者生活を送り、帰国。昭和21年に応募した小説が当選。一躍、時代の寵児となり、次々と作品を発表。記者時代の経験を活かしたこの作品も、なんともスピーディーな展開と、記者たちの不眠不休の取材魂に圧倒されます。他社よりも早く、真実をより詳細に。地方版は事件の概要、最終版に向けて真実を求めていきます。今では考えられないなあ。そういう時代だったのですね。2020/07/18
☆☆☆☆☆☆☆
1
1951年の日本推理作家協会賞の短編部門受賞作。生き生きと描き出された、戦後間もないころのまさに足で稼ぐ新聞記者の姿が、60年を経た今の目から興味深いと同時に、新聞屋のナチュラルな畜生っぷりはいつの時代も変わらないのだなぁという感慨も覚える。ゴシップや死体を喜ぶのはもちろんのこと、火事で教え子を亡くした先生のところに押しかけて、犠牲者の写真くれなきゃ死体の写真載せますよと脅し、折れた相手がアルバムの中から探せと言うや否やアルバム丸ごと持って走り去る[102]とか、クズですわ。2015/07/19
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