出版社内容情報
神奈川県警鎌倉署に常駐する「R特捜班」は、霊がからむ事件を捜査する。そんな「R特捜班」との連絡係をつとめる大悟は、他の課から胡散臭い目でみられながらも、真摯に事件に向き合い、「R特捜班」の面々を理解し、事件を解決していく。事件捜査に大悟の人間的成長をからめた傑作警察小説。
内容説明
いわくつきのエレベーターで死んだ男には心臓疾患があり、死因は急性心不全だった。事件性はないはずの事案だが、“R特捜班”は解剖するよう所轄捜査員に進言した。その結果、殺人の疑いが浮上して…(「死霊のエレベーター」)。心霊スポット多き古都を管轄する鎌倉署に常駐するR特捜班は心霊現象絡みの事件を担当するチーム。特質能力を持った心優しき刑事達が死者の哀しみに目を向け、呪い、悪霊、狐憑きなど不可欠な事件の真相に迫る。本格警察小説に超常現象捜査が融合。著者の技巧が冴え渡る連作小説の大傑作!
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年、北海道三笠市生まれ。上智大学在学中の1978年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て作家に。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞、08年、『果断―隠蔽捜査2―』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞、17年、「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かぷち
73
心霊+警察。リアル路線偏向の現代で幻想怪奇ロマンなんて最早ほとんど見かけないのに、先ずこの相容れない設定を小説にしただけで凄い。思っていたより全然怖くないし、ほのぼのハートウォーミング系の話が多かったのは少し物足りなかったけど。幽霊って信じる信じないは別として、残された者の想いがなければ成立しないと思ってる。生者が死者の事を慮ってあれこれ語り継ぎ、そこに思念の様な物が生じて霊が産まれる。忘れ去られることが無ければ、望まれてるからこそ霊になる。私自身は霊を信じていないけど、怪談には悠久のロマンを感じる。2025/02/03
ポチ
41
心霊現象を扱う特捜班のお話。ホラー色の強い刑事ミステリものかと思ったが、軽くサクサク読め霊に対しても真摯に取り組み読後感がとても良かった。続編が読みたかったが出ていないようで残念。2025/03/11
ノンケ女医長
39
一般市民がたまたま知らないだけで、今作に描かれる神奈川県警の鎌倉署以外にも、もしかしたら全国津々浦々、いろいろな警察署で「怪奇事件」としか分類できそうもない事件がたくさんあって、現実主義の刑事や署長が匙を投げてしまったり、不気味過ぎて誰も関わりたくないものだから、仕方なくR特捜班のようなセクションを立ち上げないと運営が回らない現実が、本当はたくさんあるのかもしれないなと不思議な読後感に包まれた。職業柄、霊感が強くなっていく刑事たち、たくさんいらっしゃるのでは…。年末年始の読み物として、とても良いかも。2024/12/30
ぽろん
37
短編集。心霊特捜ということで、確かに霊が係わるのだけど、さっぱりとした印象で、スッキリと解決。ちょっと拍子抜け感も否めないのだけど、何だか癖になる。面白かったです。2025/01/02
ダミアン4号
35
神奈川県警鎌倉署の“R特捜班”は心霊現象に絡む事件を専門に扱う組織。事件現場にメンバーが現れると皆一様に表情を曇らせる「この現場…出るのか?」物証で犯人を追い詰める警察組織といるかどうかさえ定かじゃない心霊を扱う特捜班。幽霊がいるならそいつに聞けばいいじゃないか!霊は意識が裸で存在している様な物だから喋りもせず、ただじっと見つめているだけ…霊の“執着”を推測、それから解放、浄化する。悪霊が大暴れして特捜班メンバー大立ち回りをというストーリーではないが…見知らぬ場所や人に感じる既視感…もしかするとそれも霊…2025/06/02