出版社内容情報
避けがたい理由で人を殺してしまった喫茶店『珈琲屋』の主人・行介と、かつて行介の恋人だった冬子。ふたりの恋の行方を軸に、『珈琲屋』のある商店街に暮らす人々の苦しみや喜びを描いて人気を集めるシリーズの最新作。今作では、『珈琲屋』に預けられた今日子という女の子をめぐり、人間の裏と表の顔を描出。濃厚でほろ苦く、それでいて温かい〝人間ドラマ〟が展開される。
内容説明
商店街にあるちいさな喫茶店は、悩みを抱えた人間たちの大きな心のよりどころだった…。あることで人を殺してしまった『珈琲屋』の主人・行介と、行介のかつての恋人・冬子、幼馴染みの島木を軸に描かれる人間模様。今作では、5歳の今日子が店に預けられることから始まる。―様々な人間が交差して織りなすドラマのひとつひとつが心に沁みる連作短編集。
著者等紹介
池永陽[イケナガヨウ]
1950年愛知県豊橋市生まれ。岐阜県立岐南工業高等学校卒業。グラフィックデザイナー、コピーライターを経て、98年『走るジイサン』で第11回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2006年『雲を斬る』で第12回中山義秀賞を受賞。現代小説から時代小説まで、人間の微妙に揺れる心理を描いて定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
87
シリーズ第6弾です。なんとなく記憶では3作目あたりからちょっと流れがグダついてる感じがしますが、ぶっちゃけ本作も良くも悪くも流れはあまり変わらずです。主人公「行介」はなんとなく、これまで頑なだった姿勢が少しずつではありながら、柔らかくなってきたかなと。プレイボーイ「島木」は回を重ねるごとにますます個人的にはNGキャラになってしまいました。薄っぺらさがちょっと受け付けず。「冬子」の都度都度、「行介」に対する思わせ振りな言動もなんだかなぁと萎えてしまいます。それでも不思議とこのシリーズを読み続けてしまいます。2025/01/19
まさきち
84
シリーズ第6作。相変わらず作中に登場する珈琲のごとく温かい話を集めた短編集。今作では1話目で突如珈琲屋に預けられた今日子を軸に、冬子と島木も存在感を増し、話全体の動きが活発になった印象。そして行介と冬子の関係にも動きが出てきたようで、次作への期待をますます大きく膨らましての読了です。2024/11/28
ゆみねこ
71
ワケアリのマスターが営む「珈琲屋」シリーズ第6弾。ある日店の前に置き去りにされた5歳の女の子・今日子。「珈琲屋のみなさんへ」という手紙に込められた意味。今日子の存在に思い当たる節のあるプレイボーイの島木と今日子の面倒を愛情たっぷりにする冬子。いきなり店を訪れてカウンターに座る行介の過去に興味がある人々。ちょっとマンネリ気味だと思ったが、今作は転換点になるのかな?次も読む予定のシリーズ。2024/11/22
まるぷー
27
「珈琲屋」に5歳の女の子今日子が預けられる。島木の子供なのかと疑心暗鬼になるが冬子が預かることに。今回は行介より島木と冬子がメインで進む連作短編。島木にしてみれば覚えがないわけではなく不安になるが、今日子の母親探しが始まる。そんな中、悩みを抱えた客が行介の正面のカウンターに座る。第3話の結ばれなかった恋を40年以上思い出として抱いていた修造の話が良かった。最終話はちょっとヤバい雰囲気になるが、今日子と母親が再会めでたしだが、島木はモヤモヤ感が残る。また、冬子の一途な気持ちを行介はそろそろ受け止めて欲しい。2024/11/11
楽駿
26
品川図書館本。久しぶりに続巻が出た、珈琲屋シリーズ。幼馴染3人組のそれぞれの立ち位置が定まって、次々に訪れる、ちょっと訳ありの人達の相談や、問題解決にあたる姿は、ずっと変わらず、安心した。長い時間がかかった恋の行方や、隠し子騒動かと考えさせられる事件も、意外な進展が見えたりと、今回はなかなかにぎやかで、次々と事件が訪れる。突然預けられた子供が、今回の作品でも重要な位置を占めるが、実は今回のこの子供を預かった事が、結婚に踏み切れない2人に、新しい風を運んでくれたりしないかな?また、次巻に期待している。2025/02/02