出版社内容情報
最後の最後で読者がそれまで見てきたものとは違った景色を提示する「どんでん返し」。好評を博した前作、『最後のページをめくるまで』で見せた鮮やかなどんでん返しを、本作でも再び実現! 在宅勤務下で起きた事件を描く「二週間後の未来」から「真実」まで全五編を収録した驚きの短編集。
内容説明
小説のラストで、それまでの流れががらっと変わる「どんでん返し」。そんな驚きを感じたい方はぜひどうぞ。―男の死を巡り関係者が次々と語るが、真実はどこにあるのかわからない「俺の話を聞け」。コロナ禍に見舞われた現代社会を描いた「二週間後の未来」など、いずれも極上のミステリを5編収録したミステリー短編集。「それは財布からはじまった」は必読。
著者等紹介
水生大海[ミズキヒロミ]
三重県生まれ。2008年、『罪人いずくにか』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞し翌年、同作を『少女たちの羅針盤』と改題しデビュー。14年、「五度目の春のヒヨコ」で日本推理作家協会賞短編部門の候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
54
人生は何をするにも選択の連続である。選ぶまでその選択が自分にとって最適だったのかわからない。だからこそ一つ一つの選択がどんな結末を連れてくるのか…そしてそれが本当に結末なのか、未知がこの1冊に溢れている。真実が果たしてその選択で導かれることができるのかどんでん返しが次々と楽しめる5篇収録のミステリ短編集。まず1話1話がミステリとして完成されていて楽しめる。その上で最終話に集結された結末へ向けた極上のミステリ。伏線回収をここまでしてくれるのか!読者は安心して身を任せて結末を託せる。選んだ結末を見届けて読了。2024/06/25
よっち
44
最後の最後で読者がそれまで見てきたものとは全く違った驚きの景色が提示される5つの連作短編集。裏切られた恋人への復讐、かつての同級生の死を追う週刊誌記者、財布から始まる思ってもみなかった結末、結婚式で逃げ出した花嫁を巡る顛末、食い違う証言と事件の真実。いずれも話が進んでその事情が明らかになっていくうちに、読み始めた当初の印象からどんどん見えている構図が変わってゆく展開で、読み終わってみると自分が全く違う目線でそのエピソードを見ていることに気付かされてしまう、それぞれの結末がまたなかなか効いている物語でした。2024/03/13
annzuhime
43
短編集。どんでん返しという帯に惹かれて購入。イヤミス感はあるけど、帯はちょっと過剰かな。どの話も登場人物の選択した行動で結末が決まってくる。最後の話は1話目と繋がるけど、ない方が良かったな。さらりと読みたい気分の時にはちょうど良い短編集。2024/12/01
seba
25
短編5作品であるが、最初と最後の編は続き物となっている。しかし間に他の話が挿入されているために内容を理解しにくかった。この本全体を通じ、インタビュー形式や二人称視点など、あまり採用されない手法に挑戦しているような印象を受けた。そのためか全体的に歯切れが悪く、少なからず読みにくさもある。各編の登場人物は、複数の選択肢の中から適当でないものを選んでしまったというよりは、予め定められた命運によってそれを選ばされているように感じる。厭な人物ばかりで、前作以上に溜飲は下がらない。これは見方によっては魅力とも言える。2025/06/05
NAOAMI
16
最期に二択・三択が用意されているでもなく、いくつかの可能性が提示され、ひねりを利かせた一応の結末も用意されているが、あなたは「誰の」言い分を信じる?どれを結末とする?って具合に委ねられているという感じ。だから人物に共感できれば、その人びいきになるかもだし、あくまでも冷静に読み進めて結末にモヤッとしながら受け入れるというのも一手。登場人物が一筋縄でいかないくせ者感に溢れ、既に狂気を隠している気にもさせるし、そう解釈すればこうなるか!と驚く点も多々。ストーリー自体は短編故深みなく、解釈の羅列に感じるだるさも。2024/11/06