出版社内容情報
「ひとりの生活」をテーマにした6名の女性作家によるオール書き下ろし競作集。物騒なので番犬のレンタルサービスを始めた女性。一方で見守りペンダントを身につけ、頼りにする女性。遠距離恋愛をしながら山暮らしを愛おしむ草木染め作家。週末に一人で映画館に行く趣味にお仲間ができた教師。郊外に戸建てを買ってすぐに夫に先立たれた妻。マンションの大家さんとの交流が人生の転機となる住人――笑わせられたり、ほっこりしたりしみじみしたり。味わい違ってどれもが面白い。時々引っ張り出して読み返したくなること請け合いの本棚本。
内容説明
私はこの暮らしが好き―年齢を重ね、酸いも甘いも噛み分けたからこそ得られた、自分に合う気楽で自由な生活。これぞ真の贅沢。それを私自身が分かっていればいい。その「ひとり住まいを楽しむ中で起きるほんの一幕のドラマ」をテーマに6人の人気女性作家が紡いだ文庫書き下ろし短編集。思わず笑わせられたり、ほっこりしたりしみじみしたり。共感はあちこちに。6話とも味わい違ってそれぞれ面白い。時々取り出して読み返したくなる“本棚保存本”ができました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たっくん
207
「おひとりさま」暮らしの女性の生活をテーマに6人の作家による競作短編集・・世の中は物騒と番犬レンタルを始めた八十四歳老女(リクと暮らせば)「幸せのお守りサービス」緊急・相談ボタンのついたペンダントを身に着ける女性(幸せの黄色いペンダント)東京都で離島を除けば唯一の村で暮らす草木染作家は遠距離恋愛中(永遠語り)週末には一人で映画館通い、そんな女性にお仲間が・・(週末の夜に)栃木県N市で念願の一戸建てマイホームを購入した矢先夫に先立たれた妻は・・(サードライフ)ほか。ほっこりと、しみじみと読了した。2024/01/11
のんちゃん
177
48歳〜84歳の一人暮らしの女性を主人公とした短編集。一人暮らしの理由は死別、離婚、未婚と様々だが、どの作品の主人公も自分を見失わず、色々と不便や不都合、世間からの偏見もあるが、最終的には納得したシングルライフを送るラストになっていて読んでいて清々しい気持ちになった。作者5人の女性作家さんのうちお二人が初読み。そのお一人、咲沢くれはさんは読み易く相性の良い作家さんと感じた。小説推理新人賞を受賞した『五年後に』は読んでみたい。新津きよみさん作品の主人公が唯一、最初、心許ない人だったので応援しながら読んだ😆2023/12/30
Karl Heintz Schneider
157
様々な事情で「おひとりさま」になってしまった。70代前後の女性を描いた6つの物語。図らずも「なってしまった」彼女たちには暗い影は微塵もない。むしろ、ひとり時間を楽しんでいる姿はたくましく微笑ましい。第四話「週末の夜に」。夫と死別した頼子と離婚した紗由美は偶然再会し、一緒に映画を観ることに。頼子「ひとりいい映画は楽しいけど、こうしてたまには誰かと過ごすのも悪くないですね。」紗由美「それはね、同じ映画を離れて観ていたからですよ。」頼子「どうして?」紗由美「それがきっと、ちょうどいい距離の取り方、なんですよ。」2024/02/26
モルク
147
6人の女性作家さんによる「ひとりぐらし」アンソロジー。夫に先立たれたり未婚だったりだが若い女性のひとりぐらしではない。「老い」を意識しはじめいろいろ不自由が出てくる頃、まだ自分で出来るしこの自由で静かな生活を壊したくない。そして子供の負担になりたくない。子供や孫に囲まれた生活、楽しそう…でも上手く利用されている感、自分の居場所が見当たらないなど次第に出てくる鬱陶しさ。わかるわ。一話目のレンタル番犬の話、興味津々。散歩や世話はスタッフにお任せ、全力で守ってくれるかわいいやつ。ただレンタル料月十万円は痛い。2024/12/11
hiace9000
132
さまざまな世代の女性の「おひとり様ライフ」を、肩肘張らず自然体で綴るアンソロジー短編集。作品ごとに随所で共感したり身につまされたりしつつも、読後はふんわり気持ちよく心がほぐれていることに気づく…女性作家さんの等身大女性を生み出す筆力は流石! とはいえ登場する主人公はみな中高年世代。成功者と呼ばなくても何ら差し支えのない、人生の酸いも甘いも嗅ぎ分けてきた(かも知れない)ベテランらしくないベテランぶりが、まるで我がことのように思えて来てしまう。短編ではお薦めの一作があるものだが、今作はすべてがお薦めである。2024/07/11