出版社内容情報
小6の拓人、忍、宇太佳はスケボーが大好きな仲良し三人組。新たに見つけた格好のスケボー練習場所で出会ったのが神社の管理人、田中さんだ。その日から、11歳と85歳の交流が始まった。いつも穏やかに話を聞いてくれる田中さん。だが少年時代に人生が一変する出来事を経験していた。それを知った拓人たちは、ある行動を起こす――。年の差をこえて築かれた、温かなつながりを描く物語。第69回小学館児童出版文化賞受賞作。解説・森絵都
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
62
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/08/post-972b28.html 拓人と同じ小6の時、田中さんは空襲で母と妹を失っていました。父と兄はすでに戦死していて、田中さんは12歳にして天涯孤独の身の上になったのでした。 年寄りにも自分と同じ年だった頃があり、その壮絶な一生に気持ちが揺さぶられる様子が活写されています。2024/08/15
Karl Heintz Schneider
37
小学校6年生の悪ガキ三人組はある日、85歳の田中さんと出会う。先生や親は、まともに聞いてくれない話も田中さんは黙って、穏やかに聞いてくれる。そんな田中さんが、ちょうど彼らぐらいの歳の時に悲しい経験をしていたことがわかって・・・。田中さんと彼らの、こんなやり取りが心に残った。「田中さんって、怒ることあるんですか?」「怒ることがないくらい恵まれてるからねえ。」怒ることがないくらい恵まれている、その言葉の根源は感謝の気持ち。日常の些細なことに不満を言っていた彼らは、この言葉を聞いて深く考え込む。2023/07/16
クラムボン
22
サラサラと読み終えます。 素敵な世界観です。 こんな風なコミュニティが全国津々浦々にあれば、孤独な高齢者は少なくなるかもね。2024/08/18
Gonzou82
21
いい作品でした。大きなうねりはないある意味日常的なお話だったが、倫理観の押し付けのないいい話だった。チョコバナナの話で涙するところがすごく共感できた。2023/11/14
てつのすけ
20
NHKのドラマを見て感度し、原作を読みたくなり読了。つい忘れてしまうが、今は70代、80代(これ以外の年齢も含む)の人たちも、それぞれ少年・少女時代があったことを。特に、太平洋戦争を経験された世代は、子どもの頃に教えられたことが、戦後、180度変わり、戸惑い、世の中が信じられなくなったのではないかと感じる。そのような苦労をされた方々の努力があり、今、我々が平和に暮らせていることを、あらためて気づかせられた作品だった。2024/09/15