双葉文庫 逆転美人

藤崎翔

双葉社（2022/10発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 350p／高さ 15cm
• 商品コード 9784575526127
• NDC分類 913.6
• Cコード C0193

出版社内容情報

「私は報道されている通り、美人に該当する人間です。でもそれが私の人生に不幸を招き続けているのです」飛び抜けた美人であるせいで不幸ばかりの人生を歩むシングルマザーの香織（仮名）。娘の学校の教師に襲われた事件が報道されたのを機に、手記『逆転美人』を出版したのだが、それは社会を震撼させる大事件の幕開けだった――。果たして『逆転美人』の本当の意味とは!?　ミステリー史に残る伝説級超絶トリックに驚愕せよ!!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[夢追人００９]

元お笑い芸人作家・藤崎翔さんのイレギュラーな仕掛けが素晴らしい傑作です。田舎の図書館で県内に予約したら３か月程も待った大人気作で漸く読めました。美人であるが為に数々の不幸を経験してきた未亡人のシングルマザー・香織が出版した手記「逆転美人」に隠された真実の意味とは？私の感想は素直に面白かったです。その理由は第一に本書のヒロインの頑張りと誠実さに心打たれたからです。大仕掛けについては電子書籍でも可能かもしれませんが時間が掛かって面倒でしょうね。このトリックが過去に前例があったとしても私は全く気にはなりません。

2023/07/27

[青乃108号]

類いまれなる【美人】に生まれた女が1人称で語る手記の体裁を取った物語。【逆転】とつけられたタイトルから、女は実は二目と見られぬ醜女であり子供の頃からそのせいで酷いイジメを受け続け成長し美人の女を見境なく殺して回るみたいな話だろうと思っておったが女はあくまでも美人のままで一向にそのような話にはならず俺は退屈したのだがいやそんなはずはないこの先どこかで必ず【逆転】がと我慢し読んだところなんとそのまま終わってしまったではないか。しかし。その先に確かに【逆転】が待っていた。退屈で長い話自体にこそ理由があったのだ。

2023/01/13

[stobe1904]

【大胆な仕掛けのミステリ】美人に生まれたため悲痛な人生を送った女性の不幸な半生が綴られるイヤミステイストの前半から一転して景色が変わるような展開に…。なんとなく違和感を持ちつつ前半を読んだが、まさかこのような大きなヒネリが待っているとは想像していなかった。大技に翻弄されつつ、大いに楽しめたミステリだった。★★★★☆

2023/02/08

[bunmei]

元お笑い芸人という異色な経歴を持ちながら、横溝ミステリー大賞も受賞した実力者。本作では、美人に生まれたばかりに、幼少期から降りかかる不幸を身に纏い、苦汁を舐めて過ごしてきた中年女の生涯を、彼女自身の手記という形で展開される。次々と襲い掛かる試練や苦悩を読み進めるのは、自分の心も削られるようで、正直、疲れて辟易とする展開だった。しかし、そこには功名なトリックが張り巡らされており、後半になって、全貌が明らかになった時、それまでの手記の内容を、全て覆すミステリーとしてのクオリティーの高さに、衝撃を受けた。

2022/11/02

[ハゲおやじ]

気になっていた本であり 久しぶりの作者の本だった。追記までは、読んでいて気が滅入ってしまった。いじめ・妬み・裏切り と次から次へと出てきて辛かったが、追記になってから 一気に面白くなった。読む手が止まらなくなった。確かに 帯に書かれているように ”紙の本でしかできない” 仕掛けだった。…って この二人（あえて名前は書かないけど）は、本当にクズそのものだね。追記の前までは 同情していた自分に後悔した。でも、よくこんな事を作者は考えたなぁと感心してしまった。

2023/11/14