出版社内容情報
「犯人はここにいる全員です」ーーリゾート旅館の支配人が惨殺され、従業員6人が自首したが、彼らの供述にはあいまいな殺意しかなく、支配人が殺された理由がわからない。完全違法な長時間労働、自己啓発セミナー、妖艶な美人女将……容疑者達の供述を聞けば聞くほど、予想外の真実が浮かび上がる。大藪春彦賞を受賞した奇才が放つ衝撃のクライムノベル!
内容説明
犯人はここにいる全員です―リゾート旅館の支配人が惨殺され、従業員6人が自首したが、彼らには殺意も動機もなく、殺す理由がわからない。だが、取調室で見えてきたのは被疑者たちの置かれた異常な環境だった。違法な長時間労働、あやしい自己啓発セミナー、美人女将の秘められた過去…。次第に明かされる内情は複雑で、事件の真相は女将が魅了された奇形金魚「ランチュウ」へと帰結する。大藪春彦賞を受賞した奇才が放つ衝撃の犯罪小説!
著者等紹介
赤松利市[アカマツリイチ]
1956年香川県生まれ。2018年「藻屑蟹」で第1回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。20年『犬』で第22回大藪春彦賞を受賞。自らの来し方を綴ったエッセイ『下級国民A』がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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H!deking
97
待ちに待った文庫化!いやー文句無しに面白い!うちも建築系のお仕事させてもらっているので、底辺の感覚は痛いほどよくわかります。やっぱり利市先生凄いな〜2022/01/26
ゆいまある
93
面白かった。前半までは。旅館の醜悪な支配人が殺された。格差に蹂躙された従業員によって。ブルジョアジーを打倒するプロレタリアート。口語体の疾走感もあって小林多喜二蟹工船のような迫力。夢中で読んだ。これよ。これこれ。奇麗ごとじゃない人間の叫びよ。こういうのが読みたかったのよ。やがて信頼できない語り手達により、事件の意外な真相が明らかになる。ここまではいいよ。構成もいいよ。しかし意外な真相の説明が延々長い。糞長い。匂わせる、程度で終わっていたら大傑作になっていたかも。いずれにしても読んでいて気持ちよかった。2023/10/26
のり
83
リゾート旅館でのお家騒動。犯人は6名。被害者は総支配人。確かに行過ぎた独裁振りであったが、場の雰囲気で殺害に到ったのには違和感が漂う。流れで一線を越えるには、ある者の伏線に乗せられての事か…被害者の妻でもある若女将。清楚な仮面の下には…自己啓発セミナーの胡散臭さと「ランチュウ」に纏わる話。奇形の誉れに取り憑かれた結末である。人の心の動きが怖すぎる。2022/02/15
JKD
41
千葉の外れの浜通りにあるリゾート旅館「望海楼」で起こった総支配人の絞殺事件。その理由は暴虐な総支配人によるパワハラ、セクハラ、モラハラの横行。ただ容疑者たちに殺意らしきものはあるが決め手がない。逆に参考人の意見は容疑者のものと少し様子が変わっている。さて、これはどう言うことか。懲役すら前向きに捉えてしまう最恐のマインドコントロールですくすくと育てられた社畜たちの残酷な物語。会社組織のの根幹とも言える興味深いフレーズがたくさん散りばめられていて、とても面白かった。純子さんのひとり勝ち。恐るべし!2021/12/05
ピロ麻呂
31
美人で優しく、清楚な女将さんが、まさかの…綺麗な薔薇には棘がある📌ってやつやね😆2021/12/15