出版社内容情報
日々の生活がイマイチ冴えない人々の前に現れる黒柴の迷い犬。首輪にマジックと書かれた謎の犬の出現で、独居老人や路上ライブをする若者、小さな理容店を営むアラフォー独身男、ライター志望のアラサー女子の日常に少しずつ変化が訪れる。「ひかりの魔女」シリーズでお馴染みの著者による「ほっこり系」書き下ろし小説。
内容説明
家族から認知症を疑われているおじいちゃん、夜の商店街で路上ライブをする若者、理髪店を営むメタボ気味の独身中年男、会社を辞めて独り暮らしを始めたアラサー女子―。そんな四人の冴えない日常に“マジック”という名の犬が一匹、ひょっこり迷い込んできた。“吠えない咬まない粗相しない”三拍子そろってるのはいいけれど、飼い主は一向に見つからない毎日。困惑しつつも仕方なくマジックを預かることにした四人に、やがて小さな奇跡が訪れる。読めばほっこり心が和む、ハートフルでユーモラスな書き下ろしスーパーわんこ小説。
著者等紹介
山本甲士[ヤマモトコウシ]
1963年生まれ。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさきち
164
鬱屈を抱えていたり躓きに邪魔されて、この先に光を見いだせない人の前に突如現れた迷い犬のマジック。彼を預かることになったわずかばかりの時間の中で自分で突き進んでいく機会や力を取り戻し、ひいては周りの人達すらにも幸せな時間をもたらしてく。集められた4編共に穏やかで、とても気持ちのいいお話でしたが、もうあんたは大丈夫とばかりにマジックが去っていく場面は本当に切なかったです。できればマジックがにっと笑った表情を見てみたいです。2022/10/29
モルク
158
どこからともなくひょっこり現れた黒柴風の犬、首輪にはマジックという名だけが書いてある。飼い主を探しても見つからず、マジックの世話をすることになった四人の連作短編集。認知症を疑われ家族と亀裂が走るおじいちゃん、津軽三味線の路上ライブ奏者、肥満の床屋、アラサー女子と、それぞれに小さな奇跡がおきて、幸せをもたらしてくれたマジックは彼らのその姿を見届けるとそっと別れを告げ新たな奇跡をおこしに去っていく。「ひかりの魔女」シリーズの作者でもある山本さんは、この作品でもちょっとユーモラスで心をあたためてくれた。2022/08/01
シナモン
153
とても良かったです。なんとなく人生に行き詰まりを感じている人のもとへふらりと現れ、彼らの人生を良い方向に導いてくれるマジック。仕方なく始まったマジックとの生活も軌道に乗りいろんなことが好転し始め、さぁこれからという時の別れのシーンは切なくじーんとくるものがありましたが、読み終えて心は温かく爽やかな気持ちになりました。マジックの仕草もかわいくて…(こんなお利口さんもなかなかいないと思うけど笑)犬好きにはたまらない物語でした。マジックは今頃どこでどんな人に寄り添っているのかなぁ。2022/04/07
タイ子
136
どこから来たのか、どこへ行くのか、去り際のカッコ良さがまるでヒーローのごとく一匹の黒柴の物語。かと言って、何をするわけでもなく、ガブリと悪人に嚙みつくわけでもない。そこに居るだけで人が癒され、人生の次のステップに進める、そんな存在なのです。春夏秋冬の4つの物語、それぞれに悩んでる人、凹んでる人の前にひょっこり現れまるで人間の言葉が理解できるような態度を取るものだから、周りに人が集まり気が付くと何だか自分は変わったぞと思ってくる。そして頃合いを見てスッと去っていく、それがマジックと言う名の犬。カッコいい!2021/11/10
ひさか
135
2021年9月双葉文庫刊。書き下ろし。赤い首輪にマジックと書かれた迷い犬が預かり主の人生にかかわりながら問題を解決して行くという、春、夏、秋、冬、と題した4つの連作短編。ハートフルですが、ありがちです。古いテレビドラマの名犬ロンドン物語(The Littlest Hobo)を思い出してしまいました。2021/12/31