出版社内容情報
新宿署の刑事・田丸は、捜査本部の方針にいつも反発するために厄介者扱いされていた。管内でOLの絞殺体が見つかったが、捜査の主軸からはずさてしまうが、帰宅途中に歌舞伎町のホストの刺殺体を発見する。田丸は二人の思いがけない共通点に気づき、その筋を追うことを会議で提案するも叶わず、隠密捜査を行うことに――。話題作を連発する社会派ミステリーの旗手による感涙必至の警察小説!
内容説明
新宿署の刑事・田丸は捜査本部の方針に反して捜査をして犯人を挙げたことがあり、厄介者扱いされていた。管内でOLの絞殺体が見つかったが、田丸は捜査の主軸からはずされてしまう。閑職に回されていた田丸は帰宅途中に歌舞伎町の人気ホストの刺殺体を偶然発見し、OL殺しとの思わぬ共通点を発見する。そのことを捜査会議で提案するが一蹴され、相棒の神無木と密かに捜査を行うことに―。ミステリー界注目の著者が送る感涙の警察小説!
著者等紹介
下村敦史[シモムラアツシ]
1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。15年「死は朝、羽ばたく」が日本推理作家協会賞(短編部門)、16年『生還者』が日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)の候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
174
優秀がゆえ組織に爪弾きにされている刑事が我を殺し真相を追う。誰からも信用されず常に真意の裏を取られる。裏切りの代償は分かっている、後悔はないと思い込むがその事こそが『後悔との逡巡』。最後の決意は悲しく切ない。リアルに描かれる裁判員制度における検察官と弁護人の戦略、冤罪への避けがたきストーリー。先入観を拭おうとすればするほど拭えない、まして知的水準が高ければ猶更か。SNS 時代に己の正当性を声高に主張する刃の鋭さ、理不尽な正義が怖い。私にとっての『慟哭』は、刑事のそれではなく、読者の慟哭に他ならない‼️🙇2024/05/21
イアン
126
★★★★☆☆☆☆☆☆居場所を求める刑事が奮闘する下村敦史の長編。1年前に捜査本部に楯突き異端扱いとなった刑事・田丸。管内で発生した連続殺人の被害者の共通点に気付いた彼は、再び独自捜査を進めるが…。裁判員選定のプロセスは興味深く読んだが、当該事件の目撃者数人が裁判員の候補になるのは偶然が過ぎるし、その後の動機も強引な印象が否めない。孤高の刑事という設定は嫌いではないが、それにしては田丸の人間的な魅力に乏しいので、1年前の事件でなぜ田丸だけが真相に辿り着けたのかといったディテールも含めて掘り下げてほしかった。2022/12/12
オーウェン
60
田丸刑事は捜査陣の中で唯一反論して、真犯人を導き出す功績を残したが、そのせいで上司や同僚から疎まれる存在に。 そんな折起きた2件の殺人事件からある共通点を見つけ出すが、賛同を得られずに独自で捜査をすることに。 刑事ものだが、SNSによってはびこる不満などが堆積していく現代性。 そして裁判員制度の矛盾。 そういう風に限定していく中で犯人の姿が浮かび上がるが、田丸の孤独な魂が突き放してく部分と、報われる部分の救い。 続編が出来てもいいかも。2024/03/05
mr.lupin
35
下村敦史さんの著書八冊目読了。新宿署の田丸刑事は、過去に捜査本部の方針に逆らい厄介者扱いをされていた。管内でOLの絞殺死体が見つかったが、田丸は捜査の主軸からは外されてしまう。そして相棒の神無木と密かに捜査を行ってゆく。 裁判員裁判の話などもあり中々と興味深い内容で、楽しむ事ができた、『慟哭』とは声をあげて激しく泣き嘆くこと。そこはちょっと微妙なところかな。 ⭐⭐⭐⭐★2025/04/11
coco夏ko10角
24
新宿連続爆破事件と今の殺人事件がどう繋がっていくのかとどんどん読み進めた。ただでさえ裁判員裁判は選ばれたら大変だろうに、この事件は精神的負担も期間の長さもしんどいな。裁判シーンも真相が明らかになる流れも面白かった。あと主人公が天然人たらしでもイケオジでもない地味で冴えない感じのおじさんが泥臭く頑張ってる様子がよかった。2023/10/24