出版社内容情報
辛い過去を抱えたミュージシャン志望の青年・守生光星は平穏無事に暮らすことを心がけて暮らしていた。
そんな光星はある日、夜の墓地で一人の少女に出逢う。少女の秘密、そして自らの過去との巡り合わせ――光星は運命の奔流に流され、大切な人を守るために罪を犯す。
読後、誰かと恋をしたくなる純愛ミステリー。双葉文庫ルーキー大賞第二回受賞作。
内容説明
少年時代に父が起こした事件の影響で、平穏無事に暮らすことだけを願いながら生きる青年・守生光星は、ある夜、自宅近くの墓地で一人の少女と出逢う。驚くことに少女は父が起こした事件の被害者の娘だったのだ。皮肉な運命を背負い出逢ってしまった二人は、やがて新たな事件に巻き込まれていく―。守生の過去、そして少女が隠す秘密。すべてが衝撃のラストへと繋がる純愛ミステリー。第2回双葉文庫ルーキー大賞受賞作。
著者等紹介
斎藤千輪[サイトウチワ]
映像制作会社を経て、放送作家、ライターに。2016年『窓がない部屋のミス・マーシュ』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞の優秀賞を受賞しデビュー。20年、『だから僕は君をさらう』で第2回双葉文庫ルーキー大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
139
なんという皮肉。なんという運命。こんな出逢いがあっていいのか。平穏無事に暮らしたいモリオの前に現れた少女の詩織。モリオの人生は平穏無事からあら波にもまれた冒険に変わる。モリオの過去のことを考えれば、素敵な将弘という友、ケンさん達や人に恵まれたのは救い。人は宝だ。LOVEでもLIKEでもいい。大切な人を信じる心があれば、人はいつまでも待てるということを見せつけられた。モリオ、詩織、どんな困難があっても二人で乗りこえて、頑張れよ!とエールを送りたい。感情移入し通しで涙腺が緩む物語だ。2025/01/05
坂城 弥生
55
夕華が個人的に好きだった。女尊男卑で、経営者として徹底している。最初はインチキっぽかったけど。 逃げ場のない紫織が唯一頼れたのが守屋だった。最近の社会情勢から男が中高年の女の子と居るのは確かにビミョーで犯罪に近いものを感じるけど、本当に苦しい時、親身になってくれる他人は拠り所になるのはわかる。2020/12/02
よっち
47
辛い過去から平穏無事を意識するミュージシャン志望の青年・守生光星。彼がある日、夜の墓地で一人の少女・紫織と運命的な出会いを果たす純愛ミステリ。エアガンで撃たれたハトを助けたことから仲良くなった二人。職を失って怪しい仕事で食いつなぐ守生の忘れられない苦い過去、紫織が抱える複雑な事情と、意外な形で繋がってゆく過去との巡り合わせ。彼らが陥った状況は何とも不運だったようにも感じましたけど、彼女のために覚悟を決める守生の優しく不器用な決断は切なくて、だからこそお互いを理解する二人が迎えた結末には救われる思いでした。2020/12/08
秀玉
19
ラストに思わず涙が出てしまった。序章で語られる「もう君と逢えない…」を頭にいれながら読んでいく。逢えないのか、合わないのか。何がどこでどうなるのだろう。住まわせてもらっている女占い師が言う。あなたを採用した理由にぐっときた。「上を向く欲が無い、マイナスの波動も無い」だからあなたを選んだ。つまりいてもいなくてもわからない、存在感が無い、人畜無害な人ってこと。実際にそのように自分を出すことをしないで生きてきた。そして彼は人生で初めての重大な決心と行動をおこす。作家の斎藤さんの作品をこれまで7冊読んだが全て丸。2023/04/26
ツバサ
19
作品の雰囲気がとにかく良くて、文章を追っていく手が止まらない。主人公の森生がなぜ警察に自首したのか、その背景を追っていくうちに森生と少女の確かに暖かい日々があって、森生が出した結論と少女が願った未来が繋がっていた結末は素晴らしかったです。2020/11/16