出版社内容情報
技巧派で知られる著者がその才をいかんなく発揮した、トリッキーでミステリアスなオリジナル短編集。人生には始まりがあって終わりがある。そして「終わりがあるから始まる」ことがある。『絶縁』『永久に』『引き際』『余命』『陰のコレクター』『彼女のステージ』『死ぬまでにしてほしい五つのこと』の珠玉の7編。
内容説明
人生で出会うさまざまな“終わり模様”をテーマにした珠玉の7編。がんで死と向き合う妹が、病床で姉に託した切なく、愛しい願いとは―「死ぬまでにしてほしい五つのこと」。人それぞれが直面しているステージ。何かが終わった時が、振り返れば前向きな始まりだったり…その転換点を小説家の視点で、劇的なエンターテインメントに落とし込む。いっとき現実を離れて物語世界への没頭へと誘う、名手によるミステリアス短編集。
著者等紹介
新津きよみ[ニイツキヨミ]
1957年、長野県生まれ。青山学院大学卒。旅行会社、商社勤務を経て87年、横溝正史賞最終候補に。翌88年に『両面テープのお嬢さん』でデビュー。女性心理サスペンスを基調にした作品を多数手がける。『二重証言』など映像化作品も多い。2018年『二年半待て』で徳間文庫大賞受賞。アンソロジー参加作品も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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utinopoti27
141
本作は、死であったり、別離であったりと、人生における様々な「終わり」から始まる人間模様をテーマに綴るミステリ短編集だ。末期癌で余命わずかな妹が、姉に5つの頼みごとをする『死ぬまでにしてほしい五つのこと』では、ラストのビターなひねりと暖かな余韻が効いている。他の作品にも独自の趣向が凝らされていて、短編ならではの面白さを十分に味わうことができる。特に、義母や実母、幼馴染みといった、女性同士の微妙な心理のアヤを描き分ける著者の巧みな表現力に注目したい。まさに技巧派・新津きよみの面目躍如といったところか。2021/08/01
sayuri
100
「絶縁」「永久に」「引き際」「余命」「陰のコレクター」「彼女のステージ」「死ぬまでにしてほしい五つのこと」7話収録のオリジナル短編集。タイトルのジ・エンドが示すように、人生における様々な終わりが題材となっている。友人や婚家との絶縁、転職、結婚、死別など、どれも身近に感じる内容でリーダビリティが高く一気に読める。印象に残ったのは『絶縁』中学時代のイジメから30年以上経過しても接点のある二人は絶縁と言うより腐れ縁の様で皮肉な末路を感じた。『陰のコレクター』主人公の歪んだ行為の末、待っていた結末にゾクリとする。2020/10/08
ゆみねこ
92
終わりから始まる7つの物語。絶縁・永久に・引き際・余命・陰のコレクター・彼女のステージ・死ぬまでにしてほしい五つのこと。ハッピーエンドで終える「彼女のステージ」が好き。「死ぬまでにしてほしい五つのこと」は妹のはかりごとに唸らされる。2021/04/05
タイ子
82
私がこれまでに読んだ新津作品に比べるとイヤミス度は低めかな(どれだけ期待してるんだか)。人生の中で直面する様々なこと、いじめ、夫婦関係、介護、病気など、それらを軸に人の心がどう動くのか、そしてラストにストンと落とす。それはさすが新津さんの上手さですね。最後の「死ぬまでにしてほしい5つのこと」が一番好み。サクッと読める7つの短編集。2020/09/21
さっこ
70
イヤミスってほどの後味の悪さはありませんでしたが、それぞれ捻りの効いたオチが用意されていました。「陰のコレクター」が結構良いお話で温かいなぁ~と思いながら読み進めると、「おっ⁉」という展開で面白かったです。2020/12/30