出版社内容情報
ぼんやりした不安と不満を抱えながらも、平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。”未来の想い出”がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。そしていま、再び新しい人生へ! 人生は変えられるかもしれない……長編if小説。
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
551
大好きな垣谷さんのご本だが、苦手なタイムスリップものと知り、長らく読むのを躊躇していた。蓋を開けてみれば女として生きる上での理不尽を、次から次へと突きつけられて気持ちがどんよりすること請け合い。わたし自身は概ね満足のいく人生だったと自負するが、高校生に戻ったらやはりああしたかった、こうしたかった、は容易に頭に浮かぶ。ラストは出来すぎ感に溢れて、結局これからも女性の生き方ってそれほど変わらないんだろうな、と逆に暗澹とした気分で本を閉じた。2021/08/08
さてさて
272
『本当にうまくいかないね、人生って』という通り何もかも上手くいく人生なんてありえません。そんな時、どうするべきなのか、不満をただただ抱えながら生きる人生を選ぶのか?それとも…。あなたの人生はあなたのものです。『タイムスリップ』なんてできなくたって幾らでも”やり直し”ができる、いつだって、何歳になったって。それは決して遅くなんかない!すべてはいつも自分次第!そんなことを教えてくれたこの作品。前を向く人だけが手にすることのできる無限の可能性を存分に感じさせてくれた、思った以上に深いところを突く傑作でした。 2021/05/10
ケイ
123
垣谷さんの描く人々には、全くだと頷くことが多い。SF的要素がある作品には共感できないの(設定が現実には有り得ないことだから)で、今回も読むのをやめようとしたのだが、展開に引きずられるように彼女らの運命を共に追った。綺麗だが平凡な主婦に随分と思い切った行動をさせたものだと驚く。それほど閉鎖的状況に苦しんでいたということか。ブレイクスルーするのは自分自身しかなく、八方塞がりだとあきらめずに視点をかえる大切さをまた教えてもらった。2023/04/21
sayuri
121
自分の思いを代弁してくれているような共感小説。私の人生、果たしてこれで良かったのか、もっと違う生き方があったんじゃないかとふと考える。作中に登場する三人の女性の様に私も高3のあの日に戻ってみたいと何度も考えた。でも待てよ。そうすると将来会えるはずの息子に会えなくなってしまう。その1点だけで戻る事を躊躇う。ない物ねだりをする様に手に入れる事が出来なかった物事を数えるより、両親や息子からの愛情など与えられた物の大切さに気付かされる。リセットしてもきっと不満は出て来るはず。腰を据えて人生やっていくしかないのだ。2021/01/30
ふじさん
113
不安や不満を抱えながら平凡な人生を送っていた高校の同級生三人は、偶然再会し、タイムスリップで高校時代に戻る。高校時代には、気がつかなかった相手の性格や人間関係の機微を知り、更には自分の母親の生き方を見つめ直し、良い面も悪い面も受け入れる過程が印象深い。人生経験を重ねて理解できることも確かに多い。タイムスリップで、現実世界に戻った三人は、過去の経験を生かして現実を受け入れ、新たな歩みを始める。SFまがいの話だが、今の社会の閉塞感を打ち破る力を貰える作品だ。作者が語っているように、世の中の歩みは確かに遅い。 2022/12/10