出版社内容情報
「うちの母は、絶対に治るんだから、ちゃんと病院が歩けるようにしてよ!」現実を見ず、介護従事者を召し使いかのように扱い、自分勝手な希望を押しつける患者家族が今日も続々と! 35歳独身の大八木新菜はリハビリ病棟で働く看護師。激務の上に、わがままな患者、無責任な患者家族に悩まされる日々だ。退院したら誰が看るかで揉める家族。母を元通りにするまで帰すなと威張り散らす息子。そこには壊れた家族関係が浮かび上がる。介護の身になって初めて味わう悔悟――現役看護師が描く、リアル介護病棟小説、書き下ろし文庫で登場!
内容説明
「うちの母は、絶対に治るんだから、ちゃんと病院が歩けるようにしてよ!」35歳の看護師・大八木新菜が働くリハビリ病棟には、自分勝手な主張ばかりする患者とその家族が今日もわんさか。…新菜は思う。そう都合良く、病院でなんでも面倒見られるわけないでしょう!!にわかに降りかかった介護問題に動揺する家族たち。ベストな道を探して、新菜も共に奮闘する。現役ナースが衝撃のリアリティーで描く、「介護のお仕事」小説!
著者等紹介
小原周子[オハラシュウコ]
1969年、埼玉県生まれ。春日部准看護学校卒業の現役看護師。2017年「ネカフェナース」で「第12回小説現代長編新人賞奨励賞」を受賞し、受賞作を改題した『新宿ナイチンゲール』を18年1月に刊行した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sayuri
126
現役看護師の小原さんが描くリアルな介護小説。主人公はリハビリ病棟で働く35歳の看護師・大八木新菜。私の姪も看護師でリハビリ病棟に勤務していた事もあり、あるあるが一杯。無理難題を言う患者とその家族。突然、降りかかった介護問題に動揺する気持ちは想像に難くないが、あまりの自己中ぶりと横柄な物言いに怒りを覚える。介護は思い遣りがあればなんて綺麗事だけじゃ済まない事は解っている。家族や公的機関の協力、介護者自身の基盤も大事、けれど『年寄り笑うな、行く道じゃ』の気持ちは忘れないでいたい。終盤の3つのエピソードに笑う。2020/03/15
きさらぎ
27
入院期限のあるリハビリ病棟の仕組みが少しわかった。「奇跡は起こらない」「認知症は治りません。ひどくなるのみ」頭でわかっていても、当事者はなかなか受け入れられないもの。看護師さんの大変さを想像しつつも、退院後の家族の苦労を思うと、もう少し持っていき方があったのでは?と思ってしまう。といって、タイトルのように全部病院に丸投げの家族も困ってしまう。看護師さんはほんとに大変!2022/03/09
ゆうき
24
ナースの奮闘や、わがままな患者家族とのバタバタがすごくリアルに書かれていた。 病院に入院したら魔法の様に麻痺や認知症が治ると思ってるんだろうか?『母は奇跡の人』だからと無理難題を押し付ける弁護士の娘。はぁー。どんな家族にも笑顔で付き合うナースに頭が下がる。わがまま言ってるのは家族のみで患者は迷惑かけられないと必死にリハビリを頑張る。この小説かなり現実です。2022/03/14
パンダプー
24
作者の作品いくつか読んだ中で、一番読みやすい。次の巻が気になります。2021/02/17
柊子
24
実際にこうした患者や家族はいると思う。だが、その上っ面を綴っただけの、まるで深みのないストーリー。自身の職場(現役の看護師だそう)での愚痴を、吐露しているだけにも思えて、不快感も。藤岡陽子さんや、南杏子さんなど、読み手の心を打つ看護師作家さん達の、足元にも及ばない。2020/06/16