出版社内容情報
改造したフォルクスワーゲン・タイプ2、通称ワーゲンバスを塒に、フリーのカメラマンと探偵の二足の草鞋を履く辰巳翔一。様々な依頼に応えて、今日も全国を東奔西走する。「降らなきゃ晴れ」「バーボン・ソーダ」「石売り伊三郎」3編を所収。
内容説明
架装したフォルクスワーゲン・タイプ2をねぐらに、フリーのカメラマンと探偵の二足の草鞋を履く辰巳翔一。富士山の撮影で訪れた精進湖で、同じく天気待ちをしていた岩井という男と知り合うものの、数日後、彼が死体で発見される。直前に岩井のバンが車上荒らしに遭っていたことに不審を覚えた辰巳は、持ち去られたカメラの行方が気になる。アマチュアカメラマンは何を目撃し、カメラに収めたのか?辰巳はその死の真相を追う。(表題作より)漂泊の探偵が出遭った三つの事件を所収。「さすらいのキャンパー探偵」シリーズ開幕!
著者等紹介
香納諒一[カノウリョウイチ]
1963年横浜生まれ。早稲田大学卒業。出版社勤務の傍ら、91年「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞し、92年『時よ夜の海に瞑れ』で長編デビュー。本格派ハードボイルド作家として注目を集め、99年『幻の女』で第52回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
174
キャンピングカーで生活するカメラマン兼探偵の物語。さすらってるわ。ミステリーというより、ハードボイルドという感じ。キャンピングカーで行く先々の風景の描写が脳内に浮かびあがり、読んでて辰巳さんのアシスタントになって一緒に旅してる気分になる。辰巳さん、外にいる事が多いせいか気持ちが大きくなるのか、見知らぬ人と気軽にうち解け、一緒に食事や酒を飲めるのが羨ましい。外で飲むウイスキー良さそうだ。アウトドア苦手な自分もアウトドアしたくなる。でも無理だ(笑)久しぶりに追いかけたくなるシリーズ物。どんどん続きを読みたい。2021/02/11
おしゃべりメガネ
96
久しぶりに読んだ香納さん作品。だいぶ前に一時期、バタバタと何冊か読みましたがそれっきりでした。ハードボイルドをベースにミステリーでしっかりと仕上げてくる作風はやはり流石でしたね。主人公はカメラマン兼探偵の「辰巳」。派手な銃撃戦や殺し合いも描写されてないので、ある意味安心して読めます。キャンピングカーでの旅を軸にのほほんとした構成かと思ってましたが、そこはさすがに香納ワールドで、しっかりとシブくキメてくれています。3編からなる短編集でテンポもよく飽きずにイッキに読めてしまうのも香納さんならではでしょうね。2024/10/16
aquamarine
88
改造したフォルクスワーゲン・タイプ2をねぐらにし、フリーカメラマンと探偵という二つの顔で、行く先々で事件に関わる辰巳。他の香納さんのハードボイルド系と比べると薄めですが、それでもそのようなシーンはそこそこあり、香納さんらしいものなのだと思います。主人公が信念をもって動くので好感が持て、中編三つを細部まで堪能しました。中でも印象深いのは辰巳の過去にも関わる「バーボン・ソーダ」。苦い余韻が後を引きます。こちらはシリーズで3ヵ月連続刊行だそうです。辰巳はこの後どんな顔を見せてくれるのでしょうか。2019/10/10
タイ子
76
フォルクスワーゲンバスに乗って各地をさすらうフリーカメラマンの辰巳。もう一つの仕事は探偵業。その先々で出会う事件と依頼人。そんなご都合主義なと思ってしまったら読む価値なしですよ。ま、そこは香納諒一さんですから事件にも裏があり人間模様も面白いです。3つのミステリ短編集の中の「バーボン・ソーダ」が好き。3カ月続けて続編が刊行されるみたいなので読みたいと思います。2019/09/15
papako
72
表紙のワーゲンバスにひかれて。キャンパー(日本で言うキャンピングカー)で生活するカメラマンで探偵の主人公が、撮影先で遭遇する事件。思っていた以上にハードボイルドでした。読み始めは、シリーズ続き買おうかどうか悩んだけど、結局読もうかなと思えるくらいには楽しめた。キャンパーで好きなところに出かけて、写真で生活して、美女を助ける探偵業。男の夢かしら。サブタイトルの『降らなきゃ晴れ』はいい言葉。言った本人はわかっていなかったけど。2021/02/15