出版社内容情報
小池真理子[コイケ マリコ]
著・文・その他
内容説明
男を車で撥ねて死なせてしまった女。男が自分を証明する公的書類を一式持っていたことから、ふいにある企みを思いつく。「男の身代わりを立てればいい」と。彼女が目を付けたのは、記憶喪失の若いホームレスだった。突如、人生は大きなうねりに呑み込まれていく…。その先に待ち受けるのは、成功か破滅か。ページを繰る手が止まらない、傑作長編サスペンス!
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒。89年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞短篇部門を受賞。95年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で第62回芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で第47回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミー太郎丸
28
初期の小池真理子作品の改装版で、題名のカルテットの如く登場人物の四人に着目していたが、最後まで結末の予想が出来なかった。ラストの衝撃に悲しくなった。2016/12/19
coco夏ko10角
25
避暑地で男性を撥ねて死なせてしまった芽衣子は記憶喪失の若いホームレスを身代わりにし…。途中のあれこれはそんなにうまくいくのかとも思うけど(初出は80年代か…いけるかも)どうなっていくのかと面白く読んだ。タイトルのカルテットはその四人なのね。終盤の展開は予想しておらず驚き。2018/04/15
リッツ
24
前半は小池さんのジャンルの中で私のあんまり好きな方じゃないかなぁと思ったけど引っ張られるように読んだ。ほんの少しずつの偶然が重なって起きた幾つもの不協和音、誰だって自分が裁かれるのは怖いがはじめに間違いを犯すと波紋はより大きくなる。悲しい結末ではあるが読後感は悪くなかった。主人公達よりも彼らに係わる主な人々の情にホロっときた。2023/01/28
ぐうぐう
24
かなりアクロバティックな設定に、少々戸惑いを覚える。裏面のあらすじにはこうある。「男を車で撥ねて死なせてしまった女。男が自分を証明する公的書類を一式持っていたことから、ふいにある企みを思いつく。「男の身代わりを立てればいい」と。彼女が目を付けたのは、記憶喪失の若いホームレスだった」偶然を超えた展開は乱暴だし、リアリティも損ねているように思えてしまう。けれど、読み進めていくと、あり得ない展開=関係性だからこそ、滲み出る感情を掬い取り、人間そのものを描こうとする小池真理子の意図が見えてくる。(つづく)2018/11/16
なっち
22
まだ読んでない小池さんの昔のミステリーがあったことがただただ嬉しい。一気読みさせてくれる筆力に感動すら覚えた。殺人事件にさえ気品がある小池さんの文章が好き。2017/12/04