内容説明
不妊による離婚や、ままならぬ仕事のことで鬱々と過ごしていたフリーライターの舞は、耶知子さんというおばばと出会う。耶知子さんは、わだかまりを抱いたまま「死」を迎える人々の心に、不思議な力で分け入ってゆくことができた。そんなおばばと過ごすうちに舞は、ライターとしてこの世に書き残すべき本当に大切なことを見つけていた―。人間の弱さや身勝手さをも優しく包み込んでくれる、余韻切ない連作ミステリー。
著者等紹介
雀野日名子[スズメノヒナコ]
福井県出身。大阪外国語大学卒業。2006年ジャイブ小説大賞入選、07年「あちん」で第2回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞し、08年に同作でデビュー。同年「トンコ」で第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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papako
70
不妊を理由に離婚したフリーライターの舞がアパートで出会った耶知子さん。高枝切りバサミで窓をノックする。自分の存在意義を見失っていた舞は、やがて命を残す方法を見つける。命をつなぐこととは?親と子供、母と娘、命とは?って書くとすごく堅苦しいけど、ユーモアたっぷりに書かれている。しかし、とにかく読みづらかった!耶知子さんと晴子さん、切ない。でも、気づかないかなぁ。あと叶野さん、結局何がしたかったの?こういう人、いるよね。舞が引っ張られなくて良かった。あ、なんか取り留めない。そんな読後感でした。2019/02/26
はつばあば
62
本に付箋を張り付けるなんて事は学生時代以来の事。それだけ良かった。作家さんの名前はとぼけているが、私の読み友さんたち女性の方にお勧め。最初から独りと、独りにされてしまうのでは寂しさが違うとか、親子が大人同士として言い合える時があったろうか・・とか。独身の娘を嘆くより、いたいけな爺婆の老々介護を如何にせん・・。「毒母」と巷で売れた本もあるが命をつないでいく私達に・・と云うより私のように老いた者にはこの本はバイブルであるかもしれない。2016/04/12
らむり
40
いつも元気でキラキラおばちゃんの耶知子さん。最後の真相はびっくりで、ちょっと切なかったな。2014/02/05
ぐりぐら
36
どちらかというと私は舞ちゃんの年に近く、元夫や元姑とのやりとりの末に離婚した経緯も友人が同じような顛末を辿ったので、とてもリアルな感じがしました。耶知子さんのおかげで舞ちゃんのしこりが小さくなっていったように感じたけど、耶知子さんもまた同じだったのです。年齢を超えたこんな二人の関係がとても羨ましく感じました。どんな風に生きて年をとり、この世を去るのか…まだ先と思わず、終活準備はもうすでに始まっているのかもしれません。2016/05/22
すたこ
36
★★★初めての作家さん。本のタイトルから明るくホンワカ話をイメージしてたのだけど、実際はホラー要素ありのミステリーだった。生と死、そして家族の繋がりを考えさせられる温かくも切ないお話だった。太陽大好きキラキラおばばの耶知子さん、優しさの裏に隠れる寂しさが辛かった。2015/01/03
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