内容説明
妻子を捨て女と逃げた男の28年ぶりの帰宅。男の思いは、あの日の駅のホームに漂着する(「あの坂道をのぼれば」)。今はもう会えなくなってしまった大切な人たち。思いは時を超え、ささやかな奇跡を起こす。切なくも希望に満ちた4篇を収録。
著者等紹介
高田侑[タカダユウ]
1965年群馬県桐生市生まれ。法政大学卒業。2003年『裂けた瞳』で第4回ホラーサスペンス大賞・大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tengen
36
偶然入り込んだ場所で出会った千鶴子。運命はここから、そして恋愛は40年後から始まった。☆家族を捨て女と出て行き、すぐに女に去られた男の末路。かつての家族を一目見たくて昔の家を目指す。☆ある老婆の遺品整理をする羽目になった。貧しく慎ましく生きたその女性は小学生の黄色い帽子を着けて亡くなった。☆母を喪った父はアルコールに逃げ壊れていった。自分が小学生だった息を引き取る前の父を思い出す。いま自分が父のように酒に溺れているのであった。☆彡てのひらだけ/あの坂道をのぼれば/タンポポの花のように/走馬灯2022/01/31
なっち
30
初読みの作家さん。この本はこちらに登録して間もない頃から読みたい本に登録していたのですが、ずっと見つけられずにいて、単行本『てのひらだけ』の改題だったのですね…(そうとわかっていたら最初から図書館にあったのに…)ブックオフで見つけて即購入しましたが、買ってよかった、読んでよかったと思えた本。4編すべて切ないけどとても好みだった。次はこの著書のグロいホラーを読んでみたいな。2018/10/12
KAN
27
なかなか面白かった。少し切ないけど。2017/01/23
nico.pp1
25
どの話もしんみりとして、切ないけど、光が差すような結末にホロリとなった。『テノヒラタケ』の幻想的な雰囲気が好み。希望を見出す最後の一文、時を超えて再会する二人が目に浮かぶようで、甘い余韻が爽やかでした。2016/01/10
けい子
24
短編集。『あの坂道をのぼれば』妻子を捨て、別の女性との時間を選んだ男性の話。子ども達との別れの場所 駅のホームでの出来事には涙が出ました。『てのひらたけ』は時間を越えた恋の話し。人って、こんなに長い時間、想う人を待てるんや…。好きな作家さんに追加。2016/05/28