内容説明
15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を喪った母親は彼女たちに言った―あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?特別収録:黒沢清監督インタビュー。
著者等紹介
湊かなえ[ミナトカナエ]
1973年広島県生まれ。2005年第2回BS‐i新人脚本賞で佳作入選。07年第35回創作ラジオドラマ大賞受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録したデビュー作『告白』は、「週刊文春08年ミステリーベスト10」で第1位、第6回本屋大賞を受賞した。12年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
973
エドガー賞の候補になったので読んでみた。湊かなえ氏は初読。5つの連作短篇と終章から構成。最初は芥川の「藪の中」のような手法なのかと思ったが、どうやらそうではなく、この作品独自の構成法である。小説は、1つの事件を核として、それに関わった4人の少女たちの、その後の15年の軌跡を追ってゆく。水面に投じられた石が波紋を周縁に広げてゆくかのように。そして、その際の核心の位置にいるのが麻子であり、その正体は2作目くらいで明らかになる。この手法もまたなかなかに見事。ただ、あえて言えば犯人像には難点を感じなくもない。 2018/04/29
遥かなる想い
699
『告白』でブレークした湊かなえの小説。15年前の同級生殺害の事件を引きづりながら生きてきた4人の女性の物語を悲劇の連鎖風に描いていくが、最終章が少し物足らない。2012/10/02
さてさて
597
『おじさん、プールの更衣室の換気扇の点検に来たんだけど…誰か一人手伝ってくれないかな』というきっかけの先に残された4人。悲しい光景を前にした4人が手分けしてとった行動、役割、それによって彼女達にそれぞれの後遺症を残す様が描かれるこの作品。怒りが頂点に達してコントロールできなくなり、取り返しのつかない行動として現れてしまう、それがまた次の怒りの感情を生んでいく負の連鎖。そして、書名の『贖罪』の人生を生きる人達を見るこの作品。負の連鎖の先にある人生の恐ろしさと、『贖罪』という言葉が強く印象に残った作品でした。2022/04/03
風眠
567
(再読)何もない田舎町。そんな町で起こった美少女殺害事件。事件に巻き込まれた4人の少女達は、どうしても犯人の男の顔を思い出せない。殺害された少女の母親は哀しみのあまり、ある言葉を少女達に投げる。フランス人形、小学校児童傷害事件、兄の継子への性的虐待、不倫そして妊娠。あの母親の言葉がトラウマとなり4人の人生は大きく狂っていく。負の連鎖、人間のおぞましさ。湊かなえ作品にしてはきれいに繋がった連作集だったが、もやもやが残らないのも何だか物足りないような。黒沢清監督のインタビュー収録も文庫ならではの嬉しいオマケ。2015/06/07
馨
478
さすが湊さん作品、読む手が止まらずあっという間に読了。長編だけど登場人物の人生エピソードの語りで物語が続くので違う話を読みながら最後に繋がってすっきり?出来る構成も上手いです。事件後、麻子の言葉が重くのしかかり人生が狂った同級生4人も、狂わせた麻子自身も、皆残りの人生は幸せになってほしいと思います。2021/09/17