内容説明
マフィアのドンに飼われ、雄としての誇りを胸に生きてきたジョニー・ラビット。いまはシクラメン通りに探偵事務所を構える彼のもとに、行方不明の兎の捜索依頼が舞い込んだ。兎の失踪なんて珍しくもなんともない。だが、単純なはずの事件は思わぬ展開をみせ、やがてジョニーは仇敵の待つ人間の街に―。ユーモアとペーソス溢れるピカレスク・ハードボイルド。
著者等紹介
東山彰良[ヒガシヤマアキラ]
1968年生まれ。第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞を受賞し、2003年『逃亡作法TURD ON THE RUN』でデビュー。09年『路傍』で第11回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
98
ドゥーガル・ディクソンの『アフターマン』によると人類が死滅した後に残って進化するもののひとつにその繁殖力で兎があげられていたが、それほど彼らは無邪気にファックする。ジョニーはマフィアのペットとして飼われ、いまは探偵家業の人間かぶれの兎だ…とはいってもこれはファンタシーではない、愛や宗教が語られ、いつのまにかいっぱしの人間同士のマフィアの抗争に巻き込まれて、ひたすら元飼い主の敵討ちを企んでいる。ハードボイルドな語り口と愛玩動物でしかない兎のギャップが面白くて意外に深い物語、そして彼は悲しいほど兎…。2017/04/13
おかむー
54
兎のジョニーを主人公に据えたピカレスク・ハードボイルドということでほのぼのな兎さんハードボイルド風味かと思ってたらば、どハードボイルドに兎のとんちんかんな哀愁と予想外。『もっとがんばりましょう』。暗殺されたマフィアのボスのペットだった探偵のジョニー、男の生きざまと兎の本能の狭間に漂い苦悩の果てにたどり着く答えは…。とまああらすじからしたら面白そうなのだけど、男思考と兎思考が入り混じって悪い意味で哲学的ファンタジックというか支離滅裂というか、ちゃんと読んだことないけど本格ハードボイルドってこういうモノか?2015/03/18
Carlos
47
ハードボイルドな兎が主人公の物語。前半は読みやすく後半は読ませる感じ。2022/07/23
アイゼナハ@灯れ松明の火
34
ジョニー・ザ・ラビット!! お前さん、イカレてるけどサイコーにイカしてたぜ…兎だけどさ。かってマフィアのドンに飼われていた兎の私立探偵が主人公のハードボイルドコメディ。でも、コメディと片付けてしまうには何やら切ないぜ。華やかなカンツォーネよりはブルースが似合う感じかな。終盤のラッキーボーイとのコンビは結構お似合いだったのにね。『悲しいのは、俺たちの道はけっして相容れないってこと。だけど、それも仕方がない。どうあってもケジメだけはつけなきゃならない。男とはそうしたものだ』いや、、、兎だけどな。2011/07/23
momi
30
子供の頃に読んだ童話の世界のような雰囲気があるのだけど、ハードボイルドな作品!!本屋さんで目に付いて手に取った作品だけど、想像してたものとは、全く違う話でした!なんと主人公が「ウサギ」兎の世界が描かれています!マフィアのドンに飼われていた兎が探偵事務所を構え、そこに行方不明の捜索依頼が舞い込んできた。単純なウサギ探しかと思っていたら思わぬ展開に…!ウサギ目線で書かれた作品でワイルドな兎ってことは良く分かるのだけど、話がごちゃごちゃして分かりにくく好みの作品ではありませんでした…。 2015/04/02