内容説明
ぼんやりした不安と不満を抱え、それでも平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。“未来の想い出”がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。そしていま、再び新しい人生へ!人生は変えられることを教えてくれる長編if小説。文庫特別収録。著者インタビュー「文庫刊行によせて」。
著者等紹介
垣谷美雨[カキヤミウ]
1959年兵庫県生まれ。明治大学文学部卒。2005年「竜巻ガール」で、第27回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
223
高校を卒業して30年。47歳になった同級生の女性3人。皆が人生に不満がある。3人は30年前に戻り人生をやり直してみる。誰しも思ったことがある人生をやり直したい願望。私もあります。大学時代に戻りたいですね。しかし、人生はやり直すものではなくて、揺るがぬ覚悟で行動する事だと改めて知る。現状に不満があり、現状を変えたければ、熟慮して行動に移す必要がある。行動に移せば、当然に周りから様々な反応がある。それでも覚悟を決めて、行動を貫く。なかなか出来ないと思う。しかし、出来なくはない。人生は可能性に満ちているのだ。2017/10/13
のっち♬
191
タイムスリップで高校生から人生をやり直す女性3人。二作目にして男尊女卑への怒りが直に昇華された作品で造形も含めて後続作品のモチーフがよく現れている。誰もが持つ『別の人生』への憧れ、しかしある程度の人生経験は生き直しには諸刃の剣。原動力になる一方で孤独や偏執を生むし、膨らんだ被害者意識が足枷になる。晴美の反論はカンフル剤のよう。著者の男性描写に露骨なように「十把ひとかげらで判断」することは可能性を削ぐことに繋がりかねる。格差はあらゆる場に存在するからこそ、どんな人生にも常に見直しと努力が必要なのではないか。2022/05/14
相田うえお
189
★★★☆☆ 女性3人がタイムスリップして高校3年に!作品内に登場するおばあちゃんの名前がきぬゑなんですが、わ行のゑとかゐってあまり見かけないんでお洒落なイメージと思うのは当方だけ?これで思い出しましたが、お店にある贈呈品の鏡とかに、[ ほにゃらら屋さん江 ]とか書いてありますよね。でもこれが[ ...さんへ ]であっても[ 屁 ]を連想する人はまずいないでしょ。いたら余程ひねくれてる人だと思うんですよ。[ さん屁 ]って書いてる訳じゃないし。。日本人っておかしな事気にしますね〜って当方も日本人か。2016/11/12
ノンケ女医長
159
ひたすら悩みながら、真剣に生きる女性たち。共感できる考えが多くて、励みにもなった。赤坂晴美という、40歳の女性。「仕事以外のことで評価されるのは金輪際、真っ平ごめんだ」と言い切っている。懸命に生きるしかなかった環境に生まれてしまった、晴美。自分の子どもでさえも、愛することができない彼女は「自分自身も生まれてこなければよかったのだ」と思ってしまっている。隣保という言葉もあるけれど、自分を精一杯保つためには、関わりを拒絶する感覚が必要な点について、ピンとこない人は、ある意味幸せなのかもしれない。2023/02/26
mariya926
149
40代の3人が高校生にタイムスリップしたら?という内容。それぞれしてみたかったことにチャレンジしますが、思っていたのとはかなり違います。それでもチャレンジして自分の好きなこと、得意なことを発見して、それを人生に取り入れるラストが良かったです。意外だったのが母親について同年代として見た時に見直すのですが、あまり親孝行していない(笑)もっと親孝行すればいいのにと思ってしまいました。私は自分の人生がこうだったら?とよく妄想していたので、それが実際に本になったのを読んだ感覚でした(笑)なかなか面白かったです。2021/07/27