内容説明
通称“座敷牢”。関東シティ銀行・人事部付、黒部一石の現在の職場だ。五百億円もの巨額融資が焦げ付き、黒部はその責任を一身に負わされた格好で、エリートコースから外された。やがて黒部は、自分を罠に嵌めた一派の存在と、その陰謀に気付く。嘆いていても始まらない。身内の不正を暴くこと―それしか復権への道はない。メガバンクの巨悪にひとり立ち向かう、孤独な復讐劇が始まった。
著者等紹介
池井戸潤[イケイドジュン]
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年、『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
301
この頃からすでに、読みやすい文体や、スパッと割りきったような、わかりやすい勧善懲悪の作風は確立されている。反面、人物造形に派手さがなく、後のシリーズ物のような熱血感が薄いので、ストーリーのひねりのなさがそのまま露呈され、作品単体で見れば単調で、地味な部類に入るだろう。ヒット作が生まれ、長くキャリアを積んだ流れの中に置いてはじめて「これも、まぁアリ」となるタイプの一冊。一本道な展開以外は、際立って悪いところも見当たらず、著者独壇場の、銀行舞台のサスペンスはきちんと楽しめる。2022/05/07
射手座の天使あきちゃん
232
「まいど!」と叫びたくなるような定番お仕事小説の安定感と爽快感(笑) それにしても銀行ってどこまで伏魔殿なんでしょうか!? 派閥争いと鉄面皮や人非人(にんぴにん)の上司ばかり 安心してお金預けてられないよ、って預けるお金は無いけど心配になりますよ! <(^_^; この作品は間違いなく娯楽小説でしょうね(笑)2014/02/22
夢追人009
197
名作時代劇「必殺仕置人」を現代社会に再現した見事なタイトル「銀行仕置人」だと思える池井戸潤さんの傑作です。黒部次長は自らの落ち度ではないのにエリートコースから落ちて人事部の座敷牢の閑職に追いやられながらも蔑みの言葉にも耐えて毅然とした態度を崩さずここぞという勝負所ではズバリと悪党どもに斬り込むというもう男の私でも惚れ惚れとするカッコ良さですね。対するに立花・佐伯・阿木・山本・諸井・闇金の鉄砲玉の何て性根の腐った恐ろしい奴らでしょう。でも本書を読んで自己中にならずに常に誠実であらねばと深く反省もしましたね。2019/09/13
るーしあ
165
まさに半沢直樹の世界。あのシリーズが好きな方には躊躇無くオススメできる。連続短篇だが各編読み応えも申し分なくラストも爽快。さすが池井戸潤。今回も安定感は抜群だ。ただしこの手の池井戸作品は立て続けに読むと食傷気味になる。他の作家、あるいは池井戸潤の銀行以外を舞台にした作品を合間に挟むと、よりこの作品の面白みが増すのではないだろうか。私がしばらく池井戸作品から遠ざかっていたから余計にそう思えるのかもしれない。2015/07/24
ダイ@2019.11.2~一時休止
162
池井戸さんらしい話なんだけど、らしくない事件が後半におきる。でも最後は予定通りで楽しめる。2014/07/08