内容説明
農家の跡取り息子・結木輝和のもとにネパール人女性が嫁いで来た。そこから彼の人生は転落の一途を辿り始める。しかし、神の山ゴサインタンの懐に抱かれたとき、彼の魂は癒され、奇跡のように再生される―。現代人の満たされぬ想いと、漠とした不安を救済する新しいエンターテインメントの世界。第10回山本周五郎賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はそやm
3
たまたま近所の高校の文化祭で10円でゲットしたことが神の導きのように感じました。「銀婚式」連載中の時から篠田さんは面白いと思っていたけれどそのまま他作品を読まずに何年も過ぎていました。こんなスゴイ作品を生み出す人なんですね。感動です。輝和にイラつきながら日本ってそうだよね、と心の隅で思ってしまう罪悪感。でも神の前に引き出されたら全てがなんでもなくなってしまうのでしょうか。え?と思う部分もありましたが、人の無力さ、希望、様々な感情をもつれさせてくれた作品でした。2016/09/26
ぴぴ
3
おもしろかったんだけど、読み終わるのに時間かかりました。だまされてネパールから日本に連れてこられ、自分の感情など関係なく結婚させられ一方的に日本の文化をおしつけられる。名前も日本名を勝手につけられ人権もなにもない。主人公の男にはイライラさせられました。 篠田さんのお話は男尊女卑を含んだものが多く、女性の目線で書かれてるので共感できることが多いです。2015/09/05
鈴川愛夏
2
読み終えるまで長かった。何を伝えたいのか結局分からぬままだった。読んだところで心に残るものは最後の方のネパール編にしかなかった。ネパール編も、実際にネパールを旅したことがある旅本ほど内容はなく、結局中途半端に感じた。二度と読むことはないであろう。2022/10/31
nyangle
2
すべてを捨て去ることによって呪縛から解放され、自律的になって自由を獲得するお話。かつ、神の在り様(よう)を描いたお話。一神教のあれじゃなくて、日本人が思い描きやすい、「自然」という概念に近いような、そんな神さま。という物語を通して人間の本性をあばき出す。さらには、「幸せ」という心的状態を例示する。といった感じで、読み応えのある壮大な物語。だれることなく突き進む力づよいお話でした。2018/02/23
ゆきまる
2
このネパールの山から来た妻は神としてどう人を導いていくのかと、どんどん小説の中に引き込まれた。長編だが面白さに時間を忘れさせてくれた。2017/01/25