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出版社内容情報
物語の生成そのものがテーマである表題作や『ある短篇のための日記』、不吉な回文が作中人物の悲惨な末路を暗示する『サタルサ』、グロテスクな青春の一挿話を回顧する『夜の学校』など。傑作長編『石蹴り遊び』の作者として知られるアルゼンチンの異才・コルタサルが遺した最後の短篇集。
内容説明
物語の生成そのものがテーマである表題作や『ある短篇のための日記』、不吉な回文が作中人物の悲惨な末路を暗示する『サタルサ』、グロテスクな青春の一挿話を回顧する『夜の学校』など。傑作長篇『石蹴り遊び』の作者として知られるアルゼンチンの異才・コルタサルが遺した最後の短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たーぼー
61
『ある短編のための日記』のコルタサル同様、私は愛用の煙草に火をつけ、紫煙をふかしながら彼を想う。コルタサルが認識したものは、己が『不在』であることの錯覚と共に、追憶の中に生きる女性に対する執着ではなかったか。そこにコルタサルのみならず、男の特徴的な一典型が生動しているのである。海に投げ込まれた瓶の中の親愛なる女性への手紙も、永遠に誰にも読まれることなく、遠い果ての浜辺に打ち上げられるだろう。しかし、この彷徨える瓶の中に、彼の作品の形式と精神に安定をもたらす世界が閉じ込められていたのかもしれない。2017/04/15
ドン•マルロー
30
コルタサル最後の短編集ということだが、そこにかつての鋭さは見られず、持ち味だった夢と現の絶妙なコントラストも淡くちぐはぐな具合になってしまった印象。それを埋め合わせるように観念的な文章がだらだら綴られるのを、円熟といえば言えなくもないのだろうが。しかし、とうに過ぎ去った少年時代に恋慕してやまなかった女性への唯一の通路を見出す「ずれた時間」は文句なく素晴らしく、ラテンアメリカ文学の大家コルタサルの「書く」という行為への一個の回答とも読みとれる。これを読むだけでも本書を手に取る価値は十分あると言えるだろう。2016/05/06
刳森伸一
3
コルタサルの最後の短篇集。コルタサルの後期作品は難解であまり面白くないという話も聞くがそんなことは全くなかった。「ずれた時間」はあの「南部高速道路」にも匹敵する傑作だと思うし、他の作品も外れがない。2015/12/12
おおた
1
http://www.uporeke.com/book/?p=3562012/05/06
mim42
0
個人的に、好きな作品と嫌いな作品がはっきり分かれる短編集2015/12/26