出版社内容情報
国際的評価が高まり、マンガ家ではただ二人、芸術院会員に推薦された生きるレジェンド、つげ義春。映画、文学、音楽、演劇・・・60年代後半のカウンターカルチャーを担う中心があった「ガロ」に発表され、それ以降のマンガ表現の革新をもたらした作品群には二色カラー版が存在した。1969年に「漫画アクション」で再録された「紅い花」「もっきり屋の少女」「李さん一家」の8作がそれで、なかでも伝説の「ねじ式」はオールカラーで扉絵も改訂した別バージョンとしてマニアにのみ知られた作品。「つげ全集」でも読むことができない異校版。ファン垂涎の愛蔵版です。
内容説明
1969年に「漫画アクション」で再録された「紅い花」「もっきり屋の少女」「李さん一家」等の8作に「蟹」(ガロ・増刊号)を特別収録。伝説の「ねじ式」は元版の二色ページを倍増、扉絵も改訂した別バージョン。発表から半世紀余りを経てますます輝きを増す傑作群が掲載時の色版を忠実に復元して甦ります。
著者等紹介
つげ義春[ツゲヨシハル]
1937(昭和12)年、東京葛飾生まれ。小学校卒業前後から中華屋、メッキ工などアルバイトや職を転々とし、職業として漫画家を目指す。1955(昭和30)年に単行本『白面夜叉』で本格デビュー。貸本漫画を経て、1965年から「月刊漫画ガロ」に発表した諸作で漫画界芸術界に衝撃を与える。連作「無能の人」をはじめその作品群は新たなファンを生み続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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読書好きの変人
4
つげ義春は初読みで、かつ白黒でなく朱色のカラー刷り。なんかシュルレアリスム的な作品が目白押しなのかと思いきやわりとコミカルな絵を描く人だった。巻末の出典を見ると、ガロからは1作しか収録されておらず、残りは商業誌から出典だったので、絵柄や作風もある程度変化があったに違いない。ところで、ねじ式は収録されている他の作品と毛色の違う異色の作品だ。賛否も分かれるが、僕にしてみれば言うまでもない傑作であった。人と背景の絶妙な不一致から生まれたコラージュ感がアート的で植田正治の写真を想起させる。似た作品をもっと見たい。2024/04/01